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プログラミングでメシが食えるか!?

本を書くことはどんな感じなのか?

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先日紹介したように、まもなく12冊目の著書が発売になります。12冊も書いたというと、さぞかし印税もたっぷり入ることだろうと想像する人がいるようですが、本はどんどん絶版になりますので、平行して印税が入るのはせいぜい数冊です。さらに、印税の仕組みとして、契約によりますが、私の場合は初版保証分が大体初版分の半分くらい最初に入り、それ以降は、最初に入った分を超えてから入ることになります。以前はほとんどの本が初版保証分を比較的すぐに超えましたが、最近は本離れが進んだためか、以前ほど売れなくなった気もします。

IT関連の専門書では、1冊発売して、1万部を超えれば成功という感じみたいです。印税はざっくりと本の価格の1割程度ですので、2000円の本を書いたとして、1冊売れて200円。数年間の本の寿命の間に1万部売れたら200万円です。印税はもちろん源泉徴収されますし、さらに確定申告で持って行かれますので、手元に残るのは160万円くらいと考えておけばよい感じでしょう。これが成功した本のケースですので、初版保証分しか売れなかったとすると、40万円くらいかもしれません。

1冊の本を書き上げるのにどのくらいの時間がかかるかは、内容にもよりますし、人にもよると思いますが、本業が他にあるとすると、土日や夜などの空き時間を使って書く場合、1ヶ月で書き上げるのは相当大変で、早くて3ヶ月、半年かかるのは当たり前くらいでしょう。私の場合は11冊目までは1年に1冊ペースでしたが、半年考えて、3ヶ月くらいで書き上げて、という感じでした。今回は3年も間が空きましたが、書いていたというよりは悩んでいた時間が長かったという感じです。

3ヶ月から半年かかって、40万円くらいの印税を目的にするのであれば、本業で気合いを入れる方が割が良いかもしれません。とはいえ、家族持ちの人であれば、1年に40万円の臨時収入が小遣いとしてもらえるのは大きいとも思いますけど。。

ということで、本を出版したからといって印税で儲けていると考えるのは大きな間違いで、ごく一部のミリオンセラーになるような本を出した人はともかく、ほとんどの人は小遣いの足し程度なのです。その割に、時間も肉体も頭も結構使います。

大して儲からないのになぜ本を書くのか?

私自身の答えは、「自分の思いをまとめたものがモノとして残せるから」かな、と思っています。本は絶版になっても国会図書館に残ります(いつかは処分?)。自分の手元にも、これまで書いた11冊の本はモノとして残っています。本業で自分の思いをモノとして残せる人は意外と少ないのではないかと思います。私の場合は自分が開発したソフトウェアがいろいろとありますが、データとして存在しているだけで、本のようにモノとして物体があるわけではありません。

他にも、本を出版する人は全体としては少ないため、「すごいことをできる人」と思われたり、「本を書くくらいだから」と信用してもらえたりする面もあります。実際に書いてみれば、すごくも何でもないことが自分で良くわかるのですが、書いたことがない人から見ればすごそうに見えるものなのでしょう。

以前は本を書くことで自分をアピールするという面も大きいものでしたが、今ではインターネットでいくらでも自分のアピールはできます。

本を出版するには、自費出版と商業出版があり、商業出版をさせてもらえるということは、自分の持っているものが少なからず世のためになる可能性があると見てもらえたと考えることはできます。ニーズのない本を出版社が出すことはまずありませんから。

私は自身で公開していたホームページを見てくれた出版社の方から声をかけていただいて、1冊目の著書を出版することができ、それ以降、編集の方々とアイディアを相談しながら書き続けることができてきました。運が良かったといえばそれまでですが、少なくとも、自分で下心もなくホームページでノウハウを公開していたからこそ運が回ってきたことは確かです。なんの努力もせずに運は回ってきません。

ということで、ミリオンセラーを書ける人は別として、普通に本を書くということがどういう感じかを少し紹介してみました。まあ、苦労はしますが、達成感もあり、出来上がった本を手にするとやっぱり嬉しいものです。

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