書評:「ネットで儲ける大様のカラクリ」
久しぶりの書評というか、本の紹介です。
先日技術評論社へ打ち合わせに行った際に、編集の方が「こんな本も出しましたよ」と見せてくれた本です。
ネットをビジネスに活用するためのビジネスの裏話満載という感じの本です。ちょうど私が、自社のホームページや会社案内を新しくしようと動き始めたところと話したところ、「是非読んでみて」といただきました。
物語仕立てになっていて、楽しくあっという間に読み終えられる本ですが、内容はためになるものです。特にIT業界の人ではなく、ITをビジネスに利用してみようと考えている人は是非読んでおくべき内容だと思います。
読むと、
・ネットショップを始めれば儲かるというほど単純なものではない
・SEO対策のカラクリ
・ネットビジネスの本当の意味
そんな感じのことがすんなりと心に入ってくると思います。
実際にホームページ制作会社で詐欺的なビジネスを展開しているところが多いかどうかは、私はそういう会社を利用したことがないためわかりませんが、まあ、極端な例だとしても知っておいて損はないでしょう。
インターネットが普及し、情報発信が低コストで誰にでもできる時代になったということから、誰でも日本全国あるいは世界に向けたビジネスができる気がしてしまいますが、実は全く逆です。利用側、つまり検索する人の立場で考えると簡単で、要するに、「一番良さそうな会社」「一番安いお店」などが一瞬で簡単に検索できてしまうのです。ということは、規模の原則が働き、大企業ほど有利なのです。今の小売業界を見てもすぐにわかることです。どこで買っても同じようなものであれば、ネットショップで最安値を検索して買うようになるのです。大量仕入れで安く売れるところが勝つのは当たり前です。
結局インターネットを活用するかどうかの問題ではなく、どう差別化を図るかの問題ということなのです。
私の会社が小規模ながらも順調にビジネスを伸ばしているのは、他と違うやり方だからです。製品開発販売では「私が作りました」と開発者を明かし、開発者自ら現場にも行ったりすること、あるいは、開発の裏話をブログで紹介してしまうこと、そもそも競合が少ない分野に強いこと、メンバーが自主的に仕事を進めること、など、従来のIT企業とはかなり違うやり方をしていたり、違うタイプの製品を提供したりしているから、たたき合いに巻き込まれずに独自路線で進んで行けているわけですし、お金をかけてネット広告などを出さなくても、本音をブログなどで書くことで、狙っているわけでもないのに製品の問い合わせがいただけたりするものなのです。それらは、自分が製品を買う立場ならどうだろう?あるいは、自分が仕事を依頼するなら?と考えたときに、「こういう人なら」「こういう情報を出しているなら安心」という情報が欲しいと考えるだろうと思ってやってきたことです。別に「デザインが今風でない」とかそんなことより、本当に探している人が知りたい内容を出せているかなのだと思います。
とはいえ、今風のデザインが悪いわけではないので、そういう分野の専門家にも相談したりして、自らも学びながら、よりよい情報発信はしていきたいと考えています。幸い、ブロガーの連携などで様々な分野の第一人者と相談できるので、この本で作り上げたような詐欺まがいの会社に搾取されずに済んでいますが、何をするにしても金を出せば何とかしてもらえる、というものではありません。依頼するにしても自分側もしっかりすることが大切ですね。
そんなことを教えてくれる本です。お勧め!