技術革新の早いIT業界では「年寄りは活躍できない?」
昨晩の慰労会で、メンバーから、「彼は3ヶ月で**のプログラミングをマスターしたんですよ!」というような話しがありました。その彼は20代半ば。私(40代半ば)と、会長(60代半ば)から、「若いからできるんだよ。年取ると新しいことはなかなか身につかなくなる。」と。。
そう考えると、技術革新の早いIT業界では、「年寄りは活躍できないのでは?」と、短絡的に考えがちなのですが、そんなことはありません。
たしかに、新しいことに対する頭の柔軟性は、明らかに若い人の方が上だと感じます。個人差もあるとは思いますが、極論すれば、赤ちゃんが言葉を覚えるような勢いで、大人が新しい言葉を覚えられないと考えれば、そんなものでしょう。
その一方で、身につけたものを使って応用する力は、経験と共にどんどんアップするものだと感じています。これが一言で言えば「年の功」ってやつですね。
他人の例を書くことはできないので、私自身の話を書くと、私は大学1年の夏休みからC言語の本を読み始め、秋くらいからアルバイトをして、C言語・UNIX・MS-DOSあたりを身につけました。誰に教わったわけでもないので、かなり自己流で、アドレスやポインタも適当な感じでした。社会人2年目に、非常に優秀な後輩が入社し、彼のやり方を見ながらまじめにプログラミングをするようになりました。その後数年の間に、私のC言語プログラミングはほぼ今のレベルになっていたと思います。
30才くらいからネットワークプログラミングにどんどんはまり、C言語によるネットワークプログラミングをひたすらやりました。こちらも教わったわけではなく、自分で試行錯誤した感じですが、たまに他人のソースを見たりしながら真似たものでした。ネットワークプログラミングの著書も数冊書き、ネットワークプログラミングの基本は35才くらいにはできていたでしょう。
ところが、「ネットワークプログラミング技術を使って何をするか?」という点に関しては、いまだに新しいテーマが現れますし、いまでもどんどんチャレンジしています。C言語・ネットワークプログラミングの経験をベースに、新しいことに応用しているため、開発スピード・レベル・性能・品質など、どんどんアップしていると感じています。
一方、私があえて興味を示さなかった、WEBやデータベースに関しては、年と共にますます触れなくなってきたので、今ではそもそもやる気もやる知識もありません。まあ、頑張ればできるとは思いますが、頑張る気になれないのです。他に好きなこと・楽しいこと・頼りにされていることがありますからね。
ということで、広く浅く、というのは年齢と共に難しくなる人が多いと思いますが、狭く深く、というのはむしろどんどんレベルアップするものだと感じています。
もちろん、技術的な分野だけでなく、人生経験も豊富なわけですから、会社間のコミュニケーションや、社内の雰囲気作りなど、年の功を活かせる分野はたくさんあると思います。
若いうちにいろいろなことにチャレンジし、経験を積み、徐々に自分ならではの部分を絞り込み、深めていくようなやり方が、技術者としていつまでも頼りにされる生き方ではないかと考えています。
今、ちょうど私の目の前の席に、社外からのベテランの方が二人座っていて、バリバリ仕事をしてくれていますが、二人とも豊富なノウハウをお持ちで、当社の若手からとても頼りにされています。人柄も腕も経験もすばらしいお二人のような技術者は、価値が下がるどころかどんどんアップしていると思います!