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プログラミングでメシが食えるか!?

IPv6がなかなか普及しない背景

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公式な話しをするわけではなく、私自身が感じていることを書きますので。。

このところ、当社のDHCPサーバ製品である「ProDHCP」「ProDHCPv6」の商談がとても増えてきており、新規で最近採用を決定いただいたプロジェクトが2つ、他に検討中がまだまだある感じです。IPv4用の「ProDHCP」単独というケースもありますが、IPv6用の「ProDHCPv6」も一緒に、というケースが増えてきています。もちろん、IPv6のみ欲しい、ということもあります。

さて、そんな背景で、私自身がSIerさんやお客さんとお話をしていて感じるのが、「IPv6の使い道がはっきりしない」という点です。

ProDHCPのユーザーの多くは回線事業者さんです。もちろん、学校や官公庁、一般企業などでの利用もありますが、その場合は「サポートがしっかりできるから」という理由で選択していただいていることが多く、回線事業者さんの場合は、価格に対して性能がとても高い、という点がポイントのようです。そんな回線事業者さんとお話しをしていて感じるのが、「IPv6をどうビジネスにつなげるのかが見えてこない」という点です。

回線事業者さんは、基本的にはサービスの付加価値を高めて、収益につなげたいからIPv6に投資することになるわけですが、回線利用者としては、「IPv6でないと困るケースが思い浮かばない」ために、IPv6が使えるようになることに対して追加のお金を出す気にならないのです。つまり、回線事業者さんとしても、IPv6対応サービスを追加しても、収益的に追加になる見込みが立たないのです。

もちろん、当社のようにIPv6対応の製品を開発・販売しているような会社なら、IPv6が使えないと開発も動作検証もできませんので、追加でお金を払ってでも使いたいのですが、一般ユーザとしては、現状、IPv4でも困らないのです。

一般ユーザのインターネット利用目的の多くは、WEB・Eメール・ソーシャルネットワークなどですが、それらはIPv4で利用でき、IPv6でも使えるサービスはありますが、IPv6でないと使えないサービスはまずありません。

IPv4のグローバルアドレスが枯渇することで困るのは、サービス提供側で、ユーザ側は基本的にはそれほど困りません。テンポラリなグローバルアドレスでアクセスできれば十分ですし、アドレス変換された環境でもほとんど困りません。サービス提供側は今のところ悲鳴を上げるほどアドレス枯渇で困っているわけではないので、普通にIPv4でサービスを提供できています。

結局、回線事業者さんがなぜIPv6対応をしているかというと、「他より先にIPv6対応していると言いたいから」という理由が中心のようです。なかなかまだ有効利用されている状況ではない感じです。

IPv6は、非常に多くのグローバルIPアドレスを使うことができます。本来は、ユーザの端末やセンサーなどがグローバルIPアドレスでつながることによって、これまでできなかったようなシステムが作り出せる可能性があるわけで、そうなればIPv6の利用が広がり、ユーザも付加価値に対する対価を出そうという考えになるはずです。ところが、今のところは付加価値というよりも、「IPv4グローバルIPアドレスが枯渇すると困りそうだから」「他より先にIPv6対応していると言っておきたいから」というような理由で進めているために、具体的な付加価値に結びつきにくいのでしょう。

このままモタモタしていると、爆発的にインターネットにつながる人が増えてきているアジア諸国の方が必要に迫られてIPv6化が進んでしまう可能性もあり、日本はIPv6後進国になってしまう心配もあります。せっかく日本にはゲーム文化などもあるわけですから、IPv6のキラーコンテンツが登場して、一般ユーザがIPv6を使いたがるような状況を作り出せればよいのでしょうけれど、今のところあまりそういう方向に向かっている感じはあまりありません。

政府調達もIPv6対応必須としていますが、IPv6対応でないと具体的に困るからという理由ではない感じですので・・・。

まあ、当社としてはIPv6対応製品でもなんでも使っていただけること自体がうれしいのですが、どうせなら本当に役立って欲しいところです。。

※私が全然無知なだけで、実際はいろいろと利用が進んでいるのであれば、逆にうれしいところなのですが、ネットワーク関連の仕事をしている私が知らないようでは、一般ユーザはますます知らないと思いますので、もっともっと情報発信をして欲しいところです。

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