「様子伺い型」ではなく「誘い込み型」へ!
年度末・年度初めは忙しいもので、本来は年度初めに合わせて今年度の計画を立て、体制も整えるべきとは思いつつ、毎年なかなかできていません。ようやく多少は落ち着いてきた感じもするので、会長との相談やメンバーとの打ち合わせを少しずつ始めました。
当社ではいわゆる下請けからの脱却を目指し、この数年間で提案型ビジネスを立ち上げてきました。IT関連ではソフトウェア製品・アプライアンス共に実績も出てきたと同時に、連携話も多くなってきました。ゴルフ練習場向け製品も昨年から休みなしに工事が続き、知名度もますますアップしてきたところです。
私は、「様子伺い型」の営業ではなく、「誘い込み型」の営業をするように、自らも、メンバー達にも行動させてきました。「様子伺い型」というのは、「何か仕事はありませんか?」と仕事を探しに行くような営業スタイルです。このスタイルは足下を見られやすいのと、数を回らないと仕事を見つけられないという点で、非常に辛いスタイルだと私は感じています。もちろん百戦錬磨の営業マンがいるような会社なら良いのかもしれませんが、当社の場合は基本的に営業専任はほとんどおらず、技術者が自ら仕事も探しに行くのは大変なのです。
「誘い込み型」は、お客さんの方から相談してくるように仕向けるスタイルです。当社のような小さな会社で、しかも知名度がない状態でこのスタイルを実践するのはそう簡単ではないのですが、小さいからこそこのスタイルでないと苦しいだけになってしまうと考えています。このスタイルでいくためには、「なんでもできます」では駄目で、「これだけは負けない」というものが必要です。自分たちの強みをしっかりと情報発信することで、その分野で困っているお客さんの目にとまり、お声がかかるのです。
「これだけは負けない」という点をアピールするには具体性がとても大切です。言葉だけで「**が得意」と言っても全くインパクトがありません。その一方で、下請け仕事は機密保持の関係で、実績を公開できない場合がほとんどで、具体的にアピールは困難なのです。そこで出てくるのが「製品」です。自社で開発した製品は、どれだけ情報を開示しようと、誰からも文句を言われません。しかも「製品」として有形無形はともかく、モノがあり、見せることができます。製品の競争力が高いほどアピール力も高いのです。
一般的に、製品があるといってもすぐに導入してもらえるものではありません。「実績」が必要です。使い物になるかどうか分からないものにお金を出したり、時間を使ったりするお客さんはまずいません。しかし、どの製品も完成時点では実績はゼロです。これを乗り越えられるかどうかが一つの大きなポイントです。
実績がないのにお付き合いいただけるかどうかのポイントは、「高い独自性」があれば良いのですが、独自性が高いということは比較対象もないもので、良さを理解してもらうのも大変なものです。結局は「人間力」がポイントだと感じています。「この人なら一緒に仕事をしてみたい」「この人が手がけているなら大丈夫だろう」と思ってもらい、一円にもならなくてもまずは使ってみてもらうところまで行くことが大切なのです。普段からの幅広い人脈も大切ですし、自分自身を理解してもらうためのアピールの努力も大事です。私の場合は、「ホームページ」「著書」「ブログ」などで自分の好きなこと・得意なことを見える状態で蓄積してきましたし、相談がもらえたらすぐに調べたり作ってみたりすることを繰り返して、「この分野ならこの人」と思ってもらえるようにしてきました。
私自身がこんな感じにやってきたことを見ながら一緒に成長してきたメンバー達や、一緒にやりたいときてくれたメンバー達なので、会社全体としても、それぞれ個性を活かしながらアピールを上手にしてくれるようになってきました。様子伺いでおこぼれをもらっているよりも、自分たちの得意分野で頼りにされている方がやりがいもあるものです。モノあまり・人あまりの時代に事業を伸ばしていくためには、独自力がなければ駄目だと考えています。今期はますますそのような動きがしやすいような体制を目指し、メンバー達と相談しながらより良い会社にしていかねばと考えています!