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プログラミングでメシが食えるか!?

「できる人」だけでは仕事は回らない

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私の説教臭い内容の記事・著書などでは、「できる人になるためにはどうするか」という感じの内容が多いのですが、それは私に限ったことではなく、いわゆる自己啓発系の記事や文献はほとんどそうなっていると思います。しかし「できる人」だけで仕事が回るわけではありません。

仕事には、クリエイティブな能力や、強い意志、行動力など、いわゆる「できる人」の能力はとても大切です。少なくとも創業者はそうであるはずで、そういう人が一人もいない会社など基本的に存在しないはずです。

そうであれば、「できる人」だけの組織を作れば大成功しそうな気がしますが、実際はそうでもありません。仕事にはいろいろな種類があり、それぞれの役割に適した人が必要だからです。

全てを一人でこなす、個人事業主のような状態の時には、「できる人」が雑用も自分で何とかしてこなし、大忙し状態になりながらも、強い意志でやり抜くものですが、事業が大きくなってくると一人では無理になります。その時に、自分と同じように「できる人」がいれば良いというものではなく、むしろ雑務をこなしてくれる人がいた方が、自分自身がパワーを発揮できるようになるものです。

逆に、「できる人」と「できる人」がチームを組むと、お互いに主張が強いために、ぎくしゃくして上手く行かないこともあるのです。もちろん、まれに相性抜群の「できる人」ペアができることもあるでしょうけれど、大抵はそれぞれがやりたいことがあり、サポートするような仕事はしたくないと考えていたりします。

従って、チームはリーダーがいて、メンバーがいる、という構成になるのです。メンバーの中からリーダーになりたい人が出てきたら、またその人を中心に、リーダーとメンバーのチームができていきます。

チームを率いていて難しいのは、「できる人」と「普通の人(表現が悪いですが)」のバランスの取り方です。「できる人」は絶対的な数が少ないので、どうしても高い評価(待遇に限らず)をしたくなりますし、しなければ他に行ってしまうかもしれません。ところが「できる人」ばかり褒めていて、さらに「できる人になれ!」と説教をし続けていると、「普通の人」は「自分はついていけないし、このチームに必要ないだろう」と考えて落ち込んでしまいます。

事業が軌道に乗れば、いろいろな意味で余裕もでき、「できる人」も「普通の人」もそれぞれやりがいを持って仕事ができるような状態を作ることができるかもしれませんが、事業の立ち上げ時点では余裕がなく、「できる人」を評価するだけでも頭を悩ませるのに、さらに「普通の人」をきちんと評価することなどできない、という状態になりがちです。

そんな状態を経て、苦労して事業が立ち上がったと思ったときに、「普通の人」がいなくなってしまっていると、今度は、いわゆる「回す」ことができなくなってしまいますし、「できる人」がさらに次のチャレンジに向かうことができなくなってしまうのです。

関係者全員が、それぞれの特性を活かして活躍し、それぞれ満足できるようなチームを作ることが理想ですが、なかなか簡単ではありませんね。

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