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プログラミングでメシが食えるか!?

技術者はモノを作ればいいってものじゃない!

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今日は昨日とは正反対の一日で、朝から、来客・新横浜・人形町・白山と、ミーティングの連続でした。外出はやっぱり疲れるのですが、いろいろな方とのお話しはとても得るものが多いので大好きです。

さて、ある方とお話しをしているときに、

「他の会社の悪口を言うわけじゃないのだけど、CADさん(当社)のスピードと比較すると、やっぱり物事の進み方が遅いんだよね。」
「あちらの会社さんも、社長や営業さんは頑張っているのだけど、技術がなかなか動かないんだろうねぇ。」

というようなお話しがありました。私としてはうれしい限りなのですが、その違いはちゃんと理由があってのことなのです。当社のIT事業部では「営業担当」「技術担当」というような役割分担はありません。私を含めて全員が「プログラマー」であると同時に「営業担当」でもあり、「サポート担当」でもあります。これには理由があり、せっかく当社のような小さな規模で仕事をしているのですから、仕事全体を経験すべき、ということなのです。多くの場合、仕事はお客さんから相談・お声がけをいただき、お会いして提案などを行い、会社間での取り決めを行い、見積・発注などを経て、実際の開発仕事になります。開発が完了した後も、納品・伝票処理などがあります。それら全部を知ることで、自分が何をすべきかが見えてくるものだというのが私の考えです。

技術担当は、社内で営業が取ってきた仕事をこなせば良い、という状態にしてしまうと、「言われたことしかできない」あるいは、「自己満足的な」技術者になってしまいがちです。どれだけ腕や知識があっても、それでは本当にお客さんが喜ぶような仕事ができないのものです。

ちょうど私が若い頃のエピソードがぴったりの内容でしたので、そのお話をその場でしました。

私は大学生の時に、今の会社でアルバイトとしてCADシステムの開発を行っていて、そのまま就職したのですが、1年目からCADシステムの開発と、お客さんへのデモをほとんど一人で担当していました。ある日、お客さんにいつも通りCADシステムのデモを行ったところ、お客さんの中のある方が「あなたは、良いものを作ることだけが自分の仕事だと考えているでしょう。でも、どれだけ良いものを作っても、誰も使ってくれなければ、なんの価値もないものですよ。」と仰ったのです。この言葉は今でも情景まで覚えているほど、胸に突き刺さったのです。確かに私は、「良いCADシステムを作れば、後は営業が売ってきてくれるもの」と考えていました。売ることは私の仕事ではない、と思っていたのです。社内でも「お客さんのことを考えて開発をするように」と言われていましたが、その意味はあまりわかっていなかったのです。

他にも、私が事業部を立ち上げ、部内の仕事はほとんど私が取ってきていた時代には、こんなことがありました。

私がお客さんと調整してきた内容を、担当のメンバーに指示すると、「そんな対応は無理ですよ。こういう感じにしかできません。」という感じに言うのです。さらに、「ここまでは、すぐに作って見せたいのだけど」という感じの相談をしても、「そんなにすぐにできるわけないじゃないですか。」と言われたり・・・。そんな感じのことが繰り返され、私も頭に来たので、「君の仕事は自分で確保してくれ。」と言いました。その後、彼は本当に自分で仕事を確保できるようになり、お客さんのことを考えた仕事しっかりするようになったのでした。

要するに、「お客さんとのやりとりを肌で感じなければ、ほんとうに何をして欲しいと考えているのかは理解できない」ということなのです。おかげで、今では当社のメンバーは誰もがお客さんとしっかりコミュニケーションができるようになり、また、それが当たり前、という雰囲気になっているので、新人が来た際にも、すぐにそうなってくれるようになったのです。

当社の対応がスピーディーなのは、こんな背景があるからなのです。

もう一つ、同じ方が仰っていたのが、「他の会社さんは、製品にどんどん機能追加をするけど、何でも追加すれば良いってものじゃないよねぇ」ということです。このあたりは永井さんの著書で勉強すれば良くわかるのですが、「お客さんに言われたことを全て対応する」のが喜ばれるのではなく、「お客さんが考えつかないようなことを提案する」ことが喜ばれるものです。実は当社の不正接続検知・排除システム「IntraGuardianシリーズ」は、競合製品に比べて機能が非常に少なくシンプルなのです。ところが、そのシンプルさが受けるケースも多いのです。特に、他の製品との連携をしたいという場合には、単機能なために、機能の重複がなくまとめることができると喜ばれますし、お客さんからも、「余計な機能がないのでわかりやすい」と評価いただくことも多いのです。もちろん、全てのお客さんが同じことを希望しているわけではありませんが、きちんと自分たちのポリシーを持って提案をすることはとても大切なことです。

そんな感じに、いろいろな方とお話しすると、考えることも多く勉強になるので、やめられません!

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