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プログラミングでメシが食えるか!?

勤務時間の長短

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IT業界は勤務時間の長さ、つまり、時間外労働時間の長さが、他の業種に比べて断然長いと言われています。なぜ長時間労働が必要なのでしょうか。

私自身はIT業界でしか仕事をしたことがないので(アルバイトは除くと)、他業種との比較はしにくいのですが、考えられる要因を並べてみましょう。

・ITの仕事は結構時間がかかる
 時間がかかるならそういう見積をして、期間と費用をそれに見合うように調整すれば良いのですが、IT業界は変化が早く、短納期を要求され、短納期だと工数も少なく、つまり安くなり、時間がかかる割に急がされるので長時間労働、さらに、安いので人を増やせず長時間労働、となる。

・ITの仕事は下請け仕事が多い
 IT業界は階層的な下請け構造で行っているケースが多く、元請け→1次受け→2次受けと行くに従い、納期も工数も厳しくなる。従って長時間労働となる。

・ITの仕事は24H356D対応
 ITシステムは24時間356日止めてはいけないものが多く、サポートもリアルタイム性を要求される。その割に高い費用をもらえないことが多いので、長時間労働となる。

・ITの仕事は問題が発生しやすい
 ITの仕事はバグなどの問題が発生しやすく、問題が発覚する度に、かなりのボリュームのテストやドキュメントを要求される。問題発生分は瑕疵対応がほとんどなので、追加費用はまずもらえず、長時間労働となる。

・ITの仕事は交代が難しい
 ITの仕事は人にスキルが紐付きやすく、代わりの人を連れてきても対応できないケースが多い。従ってわかっている人が何でも対応するしかなく、長時間労働となる。

まあ、こんな感じでしょうか。一番問題なのは「交代が難しい」ということではないかと思います。ITの仕事は非常に複雑で、業務スキル、技術スキルともに汎用的に何でも知っている、というレベルでは対応が難しく、固有の専門スキルが必要なものがほとんどです。どれだけ忙しくても、知っている人が対応するしかできず、長時間労働となる、というのは、もっともらしい理由です。

しかし、そうだとしても、それが儲かっていれば、そんなにたくさんの仕事を一人が抱え込まなくても大丈夫でしょうし、それなりに人を育てることもできるでしょう。結局は、儲かっていないから忙しい、つまり、「貧乏暇なし」なのだと思います。

私自身が今の事業を始めてから、どん底の時期〜そこそこ儲かる時期〜とんとんの時期、と、いろいろ経験しましたが、そこそこ儲かる時期は、ほとんど19時にはメンバーは帰宅していました。良い意味で「楽に稼いでいた」のです。自分たちを高く評価してくれるお客さんから、太く長い仕事をいただくことができていて、さらに追加でスポット仕事をやっていたような感じでした。工数単価もそれなりに高く、余裕を持って仕事をしていたと思います。受託開発でも儲かっていた時期です。

最近は受託開発で儲けることはなかなか難しく、どこでもできるような仕事は、単価が安く、納期も厳しく、要求も厳しいものです。そのような仕事を担当すれば長時間労働が当たり前になることも多くなってしまいます。その割に対して儲からず、モチベーションも上がりません。そもそもIT業界で、「オフショア」「不景気」などの背景により、単価低下、仕事不足なので、どうしようもないのです。

一方で、受託開発でも、当社、あるいは、ある人でないとできないような仕事は、値下げ要求もあまり来ませんし、工数も要求もそれほどひどいものにはなりません。ある程度受け手が我が儘(というより真っ当なこと)を言っても、他に相談できないので大丈夫なのです。

また、製品開発販売やサービス事業などのように、人が動いた量と無関係に稼ぐ方法もあります。

長時間労働をしたくなければ、「固有技術で勝負」「仕事の時間と無関係な稼ぎ方」を目指せば良いのです。もちろん、なんの努力や工夫もせずにそうなれるわけはありません。頭を使って、自ら行動して、そういう状態を目指さなければなりません。口を開けて待っていても儲かる仕事は回ってきませんし、不景気ですので、そもそも儲からない仕事でも回ってこない時代です。仕事を選択するのは自分自身の意思です。

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