WIDE報告会
今日は午後からWIDEプロジェクトの報告会、夜には懇親会に参加してきました。このところ製品開発販売関連が忙しく、メンバー共々WIDEプロジェクトの研究会や合宿には全く参加できていないのですが、何とか年に2回ある報告会だけは私が参加しています。
WIDEプロジェクトは昨年で20周年で、今年から30周年に向けての活動と、様々な検討・改革を進めているそうです。実際、インターネットの様子もすっかり20年で変わりましたし、世の中も変わりました。村井先生曰く、WIDEプロジェクトは元々は分散コンピューティングを研究テーマにしていましたが、最初の20年はその土台を作るのに費やした。今後はようやくその上で分散コンピューティングをできる。とおっしゃってました。今やクラウドというキーワードを中心にまさに分散コンピューティングが注目されていますが、WIDEは20年前からそれがターゲットだったわけです。
WIDEプロジェクトのユニークなところは、産学連携のプロジェクトというところでしょう。半分(もっと?)は大学生・院生であり、その他は学校関係者や企業の研究者から構成されていて、年齢層も非常に幅広いという点は世界でも非常に希な集団だそうです。もっとも、実際に参加してみると、その良い面ももちろんたくさんありますが、そうでもない面もあるわけでして、やっぱり個人的には「学生の論文に向けた研究の場」という面が強すぎる感じは受けています。論文は少しでも新しいことである必要があり、すでにできている技術にはあまり興味がないという印象があります。特に若い人たちはそういう感じでしょう。
我々がやっている開発は、全く新規のチャレンジものもありますが、それと同じ以上に、すでにあるものをより良くする、あるいはよりコストダウンして提供するような仕事も重要です。また、多くのIT技術者が関与しているのは、新しいチャレンジというより、仕様に基づいて確実なシステムを作り上げることでしょう。
IT業界、あるいはプログラマーと範囲を絞っても、取り組んでいる仕事は実に様々で、それぞれが必要だから仕事になっているわけです。もちろん、客観的に考えて面白そう、やりがいがありそう、あるいはそうでもない、というのはありますが。
技術志向の若い人たちは研究者にあこがれる人が多いものです。私もそうだったかも知れません。しかし、研究者としてメシを食える人はそう多くはありません。一方、事業として技術を活かして行くという分野もまた、実際に取り組んでみると刺激的でやりがいのある仕事です。それらをきちんと把握した上で、自分の進路を考えられればなお良いと思っていて、そういう話題を提供できるのが我々だと思っているのですが、なかなか自分自身で忙しく、あるいは、そもそもそういう話題に若者が興味を示さないので、難しいと感じたこの数年のWIDE参加でした。
もちろん、WIDEの関係者の方々との交流だけでも私にとってはとても価値があるのですが、やっぱりもっと広い関係を築いていかないと駄目だなぁ、と毎回反省しているところです。