ノルマに対する考え方
今日で上期も終わり、という会社は多いと思いますが、業績はいかがでしょうか。
私の会社では、各事業部ごとに、ほぼ独立採算的な動きをしていて、業績によってボーナスが直接変動する仕組みになっています。さらに人件費も含めた経費もボーナス原資の計算に直結していますので、半期ごとにどのような成果を出せるかは、まさに一人一人の収入に直結しています。
さすがに細かい経費まで全て毎週あるいは毎月計算しながら業績を考えるのは大変ですので、大体必要な経費を元にざっくりとノルマを定め、それを目指して各事業部が動く感じになります。大体、自分自身にかかっている費用の3倍は稼げ、というのはどこの会社でも相場でしょう。
私自信、入社3年目に事業部を作り、ノルマを背負い続けてきました。当初はCADの開発販売事業でしたが、新バージョンはなかなかリリースできないし、売るのは難しいし、と、3年くらい大赤字でした。責任者会議の度に社長や他の部署の部長から雑言を浴びせられ、今に見ていろと拳を握りしめて耐えていました。その後受託開発を主軸にし、大幅黒字を連発し、周りからの扱いも待遇も何もかも変わりました。そのまま15年くらい、ほとんど黒字を続けましたが、楽に越える場合ももちろんあったものの、大抵は期末が近づくにつれ、必死にお客さんと交渉をするなどして、何とかその期のノルマを達成するために身も心もすり切らせながら努力してきました。開発の仕事はスパンが6ヶ月という単位に対して比較的長いものが多いため、直前に動いてもなかなか効果は出ません。多少取り過ぎかな、というくらい仕事を集めてちょうど良いことが多かったものですが、たまに本当に集まりすぎて業績は良いのですが、こなす方が大変ということもありました。
ノルマは単なる目標ではなく、必達目標です。以前、ある部長が「ノルマは言葉がきつすぎる。バジェットと呼ぼう。」と言っていた時期がありましたが、事業はそんなに甘いものではないと私は考えています。なぜなら、会社は社員に約束した給料を約束した期日に確実に払わなければならないわけで、そのためには仕事で約束した業績を約束した期日までに集金し終えなければ、資金繰りがおかしくなってしまいます。
その約束を背負うのがリーダーたちの役目です。その期に約束を果たすのはもちろん、その先も継続的に発展していくように舵を切るのがリーダーの役目です。非常に苦しい役割ですが、それが人を大きく育てることも間違いありません。
常に自分のチームの状況を把握し、打つべき手は可能な限り早く打ち、ノルマ達成の目処を早めにつけて、余裕を持って次の戦略を練っていくのが理想ですが、小さな会社のチームでは、リーダー自身も稼ぎ頭にならざるを得ないことがほとんどで、目の前の仕事の忙しさにリーダーの役目を忘れ、期末になって手遅れ、という状態になってしまうことは多いと思います。まあ、その痛い目にあうことによって反省することも大切ではあるのですが、毎回約束を守れないようではリーダーとしての資質を疑われることになります。
リーダーは、自らやりたい事業を立ち上げたわけですから、仕事の選択の自由と引き替えにノルマを背負わされているということを忘れてはいけません。ノルマを背負いたくなければ、他のリーダーの指示通りに動く立場を選択すべきです。高い理想を掲げることは大切ですが、いつまでも結果を伴わないと会社からもメンバーからも信用を失います。死ぬほど忙しかったから、がんばったから、といってノルマは免除されるものではありません。ノルマは達成してはじめて一人前に意見が言える、というくらいの認識をきちんと持たねばなりません。結果だけでなく過程も、というのは、必達目標であるノルマを越えてはじめてアピールできることだと考えておくくらいでちょうど良いでしょう。
同時に、リーダーを束ねる立場のリーダーは、ノルマの厳しさをきちんと教え込まなければならない訳です。これもかなり辛い仕事で、現場でリーダーやメンバーが必死にがんばっているのにノルマに届かなかった場合など、ついつい甘い言葉をかけてしまいたくなります。しかし、ノルマは本当に厳しいものだと身にしみなければ次も同じ状態を繰り返すことになります。がんばったのに、という言い訳を言いたくなったら、会社から、給料やボーナスを期日に支払えるようにがんばったけど、駄目だったよ、という言い訳も聞くことができるか、と考えてみると良いでしょう。
まあ、事業によっては半期でなかなか種まきから収穫まで回らないこともあるものです。それでも、基本的にはそれを想定してノルマを最低限達成できるように進めるのが事業というものです。収穫が始まったらノルマどころではなく、大儲けだ、という意識で行かねばなりませんね!