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プログラミングでメシが食えるか!?

自分のアピールができない技術者

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今日は派遣会社の方が技術者を連れて来てくれました。長年勤めていた派遣先の仕事が打ちきりになったということで、従来なかったほど厳しい状況と感じていると引率の方がおっしゃっていました。
技術者の経歴は事前に拝見していて、学歴も高く、スキルもなかなかと感じていましたので、面談ではITへの関心や将来をどう考えているかなど、人柄を中心に質問しました。

毎回感じていることなのですが、派遣など強い管理下で指示された仕事を長年続けている方は、アピールが非常に下手な人が多いのです。私とメンバーからの質問は、
・自分のアピールを自由にしてください。
・自宅で使っているPCに関して語ってください。
・仕事以外で何かプログラムを作っていますか?
・これまでの仕事で「これはすごいことをやった」というようなアピールしてください。
・なぜIT業界を選んだのですか?
・今後5年・10年でどのように成長したいですか?
・イーサーネットで好きなプロトコルは?
こんな感じです。要するに、日頃IT関連でどんなことに興味を持っていて、自らどのくらいこだわって取り組んでいるのかが知りたいのです。これが意外と答えられないのです。

いまどき、この手の自己啓発本やブログサイトはたくさんあり、向上心のある人々は対策しているかも知れませんし、そもそもIT業界を好きでやっている人なら、言われなくてもこのくらい平気で答えられることでしょう。しかし、受け身の仕事が中心で長年やっていると、言われた範囲プラスアルファくらいしか考えなくなってしまうのでしょう。派遣の場合は成果が良かろうが悪かろうが単価はそれほど変わりませんし、自分の収入も大差ないため、無難にこなす癖がついてしまうのかも知れません。派遣ばかりではありません。大企業でもほんの一握りの野心のある人々以外の多くは、受け身の仕事を知らず知らずのうちにしている感じです。

せっかく来ていただいたので、我々の会社ではこんな感じに仕事しているよ、とか、こういう製品を一緒に企画・開発・販売してくれる人を探しているというような話をしたのですが、あまりに普段やっていた仕事と違っていて戸惑われていたようです。何しろ私と一緒に面談した製品開発のリーダーは入社4年目で事業を立ち上げつつあるというメンバーです。今日いらした方々も、実際はすばらしいスキルもありそうなのですが、それをアピールする術を身につけてくることができなかったことがとても残念です。

もちろん受け身の仕事は全て悪いと言うつもりはありません。そういう仕事・生き方が好きという人もいるでしょう。しかし、せっかく一流大学を卒業したような人を、指示通りに動くような技術者に刷り込んでしまう企業のやり方も疑問を感じます。日本のIT関連が世界に勝っていけないのはこのあたりが問題の一つではないかと考えています。個性や光るものをつぶしてしまい、利益ばかり追い求めてIT企業といえども半分商社のようになってしまっているやり方も悪いとは言いませんが、そういう企業が優秀な人材の個性を伸ばさないというのも問題ですし、学生がそういう企業を目指してしまうような教育・指導のやり方も問題がある気がします。

少々偏った意見だとは思いますが、面談するたびに感じることを正直に書いてみました。

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