事業の発展とは
今日は午前中、当社の企画担当のIさんとミーティングを行い、主にIT事業部の今後に関する話題で議論しました。Iさんとは毎週1回はじっくりミーティングを行う時間を取るようにしています。私はプログラマー社長で、もともと理系ということもあり、経済・経営的な観点からの思考が苦手で、Iさんはもともとは理学部出身で技術系の仕事をしていたのですが、外資系の会社で営業を経験し、経済の修士を取得し、経営の修士に挑戦中という方で、私にとって、あるいは技術者集団である当社にとってとても新鮮な切り口で意見を述べてくれます。
当社はこれまで出来高制を上手く活かして発展してきました。私が入社した当初はたいした利益も稼ぎ出していないのに長時間労働で仕事をした気分になり、待遇の低さに対する不満がありました。社長(現会長)が出来高制にし、分配のルールを全社員に基本的には公開し、事業部ごとにリーダーが昇給・ボーナス分配を決め、社長が承認する、という仕組みにし、人数×経費×Nでノルマを決め、それを超えた分をある割合でボーナス分配するということにしました。それにより、効率・品質に対する意識が変わり、利益を定常的に出して高い報酬を得るという、プラスの循環が続いてきました。
しかし、人数×Nの目標設定では、基本的に現状維持的な考え方や、半期単位での帳尻合わせに視点が向いてしまい、事業の発展という観点からはかなり離れてしまっている現状もあるのではないかという点で、このところ議論を続けてきました。事業という大きなくくりの中で様々なビジネスモデルがあるのですが、一般的にビジネスモデルには栄枯盛衰があり、何十年も同じビジネスモデルで稼ぎ続けるというのはというに変化の激しいIT業界ではあり得ないと考えられています。つまりある程度事業が軌道に乗った時点で次の手を考えて準備していかなければ、継続的な発展は難しいということなのです。
いったん慣れてしまった方式は、変えることに対する抵抗感が強いもので、メンバーもなかなか理解に苦しんでいる面もあるのですが、次に備えて組織は常に変化していかなければ業界に取り残されてしまいます。すでに人数×Nの目標設定で10年以上成果を出してきた今となっては、比較的ハードルの低い目標ともいえ、また、中長期的な発想に向かいにくい目標でもあるということで、現状の目標としてはややふさわしくない面が増えてきてしまっていることを理解しなければならない時期なのです。
現状を維持しようと考えると凋落していくものです。事業を発展させるためには変化を求めてチャレンジしていかねばならないのです。
プログラマー社長のブログと言いながら、いきなりとてもビジネス色が強い内容ですが、技術者はついつい自分中心の発想に陥りがちです。「良いものを作れば売れるはず」「すばらしい技術があれば仕事は来るはず」というプロダクト・インの発想です。しかし、現代は供給過剰の社会で、マーケット・インの発想ができなければ事業は成り立ちません。社会の変化に合わせて、否、むしろ先読みして組織の変化に取り組まなければ置き去りにされます。先が読めない社会に怯えてビクビクしているくらいなら、手当たり次第チャレンジして自ら扉を開く方が精神的にも楽なのではないでしょうか。
私の父は、私がたまに仕事で成功した話をすると「おごれるものは久しからず・・・」と戒めてくれました。ドッグイヤー、さらにはマウスイヤーの現代ではうぬぼれている暇など無く、常に変化を求めてチャレンジを続けなければならないのです。まずは技術志向の自分に対する戒めも兼ねて、説教臭い話題からスタートしてみました。