「セルフヘルプ」は”Self-help”に等しからず
「セルフヘルプ」を日本語版のウィキペディアで引くと、こうあります。
セルフヘルプ(Self-help)とは、本人による本人のための活動を意味する。 犯罪被害者の会、交通事故遺族の会、アルコール依存症患者の会、精神障害者の会など、ある特定の困難や問題、心の傷を抱えた当事者たちが自らの現状を自らで修正、改善する意思をもって集い活動をするものである。
しかし、英語版のWikipediaで”Self-help”を引くと、このように定義されています。
The term self-help (or self-improvement) refers to self-guided improvement[1]―economically, intellectually, or emotionally―often with a substantial psychological basis.
私訳:セルフヘルプ(自己改善)とは、自助努力による経済力・知力・感情の改善である。多くは心理学の知見に基づいている。
もちろん両者の意味合いは重なっていますが、ざっくり言えば、セルフヘルプは「自助コミュニティ」で、”Self-help”はいわゆる「自己啓発」という違いがあります。
これはどうしてなんでしょうね。”Self-help” = self-improvement的な意味合いでは「自己啓発」という日本語がうまく対応していたのでそちらが使われた。「自助コミュニティ」的な意味合いでは、ちょうどいい日本語がなかったので「セルフヘルプ」が用いられるようになった。そういうことかしら。
(おまけ)
僕が初めて”Self-help”という言葉を知ったのは、2002年に「はじめての、社会人のための意志決定支援サイト」と銘打って起-動線というサイトを立ち上げてしばらくしたころでした。このサイトでは『「自分ナビ」作成プログラム』というeラーニングのようなプログラムを提供しています。これを見た、当時アメリカで働いていたソシアレの市川さんが「こういったSelf-help系のプログラムはアメリカでは多いので日本でもニーズがあるのでは」とかなんとか言ってくれて、それで知りました。
それから6年後の先週。家に遊びに来ていたイギリス人に『クリエイティブ・チョイス』の説明をしていたら、彼は「要するにSelf-helpの本だね」と言いました。アメリカでもイギリスでも、だいたい同じ意味合いで使われている模様。