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まじめにネットスラングを勉強するための論文

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 これだけネットが発達して一般化すると通常の情報収集やコミュニケーションもネットで行うことが増えてくる。Twitterなんてもはや一般人が使うほどにメジャーな存在になったが、その実そこにいる人達はネット出身者がベースなので一般化した今でも、ネット方言ならぬネットでの専門語=ネットスラングが普通に使われるのでちょっとやっかいだ。こうやってそれなりにネットに接しているつもりの私でもときたまわからないものに出くわすし、未だに戸惑うことも多い。(参考:「よく見かけるけど意味がわからないインターネット用語ランキング」)
 そういうときは、2典Plus(2ちゃんねる用語サイト)ニコ典(ニコニコ動画用語辞典)なんかをみると各種用語が載っていて便利だ。

 こういう日本語の乱れに目くじらを立てる人もいるが、個人的に言葉はそれを使う人や組織、風土などを如実に表していると考えるているので、こういうところでは日本語の乱れよりはいったいどんな言葉がよく使われ、それは何故かというのが興味分野だ。

 用語集サイトにはネットスラングが多数収録されていてわからない用語を調べるには便利だが、そもそもネットスラングってどういう種類や系統がどういう経緯でできあがったかを知ろうとすると結構大変だった。ところが先日CiNiiでみかけた「ネットの日本語 -2ちゃんねるとニコニコ動画を中心に」という論文には、これが上手に整理して纏めてある。論文の中身を読みたい方はここ

 この論文の著者の内山氏は、まずネットスラングを文法、音韻、表記、語彙、文章表現の5種類に分けた後にそれぞれの成り立ちや形態でさらに細かく分類を行っている。それぞれひとつずつ例を挙げると

「うまそい」は「うまそう」が文法的に形態動詞語幹が疑似形容詞化したもの 他の例:「おもしろそい」
「マターリ」は「まったり」が音韻面で促音脱落+長音添加変化したもの 他の例:「ヤター」「だたーよ」
「kwsk」は「くわしく」を表記(入力)するの際にローマ字化+母音省略がおきたもの 他の例:「ggrks」「gkbr」
「禿同」は「激しく同意」の省略・短縮したもので語彙に分類される 他の例:「常考」「誰得?」
「(ry」はネットの文章表現の一種で断定表現を避けるための湾曲表現にあたるもの 他の例:「ゲフンゲフン」(多分「おや誰か来たようだ」も同種と思われる。)

ということだ。
 ちなみにそもそもなぜこうしたネットスラングが生まれるかの原因・理由・背景について内山氏は、他の人よりも目立たせたいという「差別化」、短時間で効率的に文章を書きたいという「省力化」、そして新しい表現方法をおもしろがる「新奇嗜好」があるとしている。

 こまで整理されると非常にわかりやすいし、新しいものが出てきたときも類推しやすくなる。最近ネットに参加し始めて若者達が使っている言葉に当惑しているオヤジ世代には貴重な論文だw。ある程度年を取った人は、感覚的ではなく頭を使ってネットスラングを理解・把握するほうが入りやすいと思うのでお薦め。

 そうそうこういうネット用語以外に、ネットでよく使われるフレーズというのもある。これも一般人にはわかりにくい。会話の流れの中で普通に使われる(最近だと「~だが、大丈夫か」など)のでネット独特フレーズであることにそもそも気づきにくいが、あるときふっと気づき、そしてその意味や背景がわかるととたんにまたネットでのコミュニケーションが興味深くなる。
 今週末にR25が『「ククク…四天王の中でも最弱…」のルーツ』という記事を書いていたが、思わず過去にこの手のフレーズを見たときのことを思い出してニヤリとしてしまったw

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