オルタナティブ・ブログ > ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦 >

エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

つくばの農業体験農園に行ってきました

»

 ちょっと縁があって土曜日に筑波大学の特講「つくばにおける社会起業の実践」に参加して、実際の参考事例として「農産物直売所 みずほの村市場」と「農事組合法人つくばブルーベリーゆうファームのつくば田舎農体験」を見学させていただいた。

Ph_15

 みずほの村市場については有名であちこちでテレビ論文などに取り上げられているので詳細な紹介は省くが代表者の長谷川さんのエネルギッシュなお話に深く感銘を受けた。

 でもう一つのほうの農業体験農園というスタイル。これは従来の区画貸し出し式の市民農園とは違ったタイプの新しい農業ビジネスだそうで正直私も参加するまで知らなかった。従来の市民農園の場合は土地を区画に切り分けて一定期間貸し出したら後は全て借りた人の裁量という形式だが農業体験農園の場合は、ファームアドバイザーという指導者がいてその指導のもとで、農機具の使い方、ベッド(畝)の作り方、マルチの張り方、病害虫、雑草の防除法、各種野菜の栽培・管理方法などを学びながら約1年間(3月下旬から1月中旬まで)収穫までを体験する形式。畑に作付けする野菜も自由ではなく契約者全員がアドバイザーの作った同じレイアウト(土地は広めなので23品目以上になる)で植え付けていく。

Ph_14

 当日従来の市民農園との差別化ポイントを幾つも説明して貰ったが結構よく考えられているビジネスモデルだった。

 まず契約する市民側のメリットとしては、

  • 専門のアドバイザーから細かい指導が受けられる
  • 全員が同じレイアウトで農薬などを使う場合もコントロール下で行うので、自分が契約する前の土地の活用状況が保証される(市民農園の場合無農薬栽培やりたい場合でも前契約者がバンバン蒔いて土中に残留している可能性を除去できない)
  • 作付けのレイアウトも共通で他品目を毎年場所を変えるので連作障害も抑えられる
  • 農具などは現地に揃っているので手ぶらでいける
  • 植え付け時の講習会や収穫祭などで他の契約者とコミュニケーションを図れて、同じ嗜好を持った人同士でのコミュニティに参加出来る
  • 忙しくていけない場合は、草むしりなどの管理の代行や替わりに収穫をして貰い郵送をして貰うこともできる(両者ともサービス料金は別途必要)
  • 地域のイベントの時などに経営者が作物の直売をやる際に隣で一緒に野菜を売ることも可能

 提供者側としても

  • 従来より付加価値の高いサービスを提供する分、契約料金を高めに設定でき付加サービス料という追加収入が期待できる
  • サポートを手厚くすることで耕作放棄などによって土地が荒れるのを防ぎやすい
  • 土地貸し出し式の市民農園と違って、自ら農業を営みつつ外部からの作業支援を得ているという形式となるため、国や他からの農家向けの各種助成制度が使える
  • 最終的には雇用創出などに繋げられる可能性がある

といったメリットがあるそうで一石二鳥だそうだ。資料によるともともとは東京練馬区加藤義松さんという方が考案したということだ。

 当日見学したつくばのほうでは、土地の特性を生かして練馬の倍以上の広さでその分金額も高めに設定したということだが、契約は順調で今年は区画を倍に増やして80区画以上になっているそうだ。契約者は30代、40代、20代の順に多く夫婦での参加が多いそうだ。契約者の3分の1がリピーターで東京在住の契約者も結構いるとのこと。

 つくばの田舎農体験のほうはホームページがかなり充実していて、実際にノウハウなどもかなりそこに載っている。ほとんど広告や宣伝をしてなくても(というか広告にお金をかける余裕まではないらしい)口コミやホームページ経由で契約が集まるそうだ。
 面白いと思った。つくばという研究学園都市という土地柄やつくばエクスプレス開通という要素があって、自然や農業に興味のある人が他の土地よりは多そうだということを割り引いても、結構勝ち目のあるやり方に聞こえた。

 実は私も家の庭でちょっとした家庭菜園をやっているのだけど、一度はちゃんとした指導を受けてみたいなぁと思う事もあって、もし家の近くに農業体験農園が出来たら1回くらい契約してみるかもしれない。

Comment(0)