オルタナティブ・ブログ > ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦 >

エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

世論調査vs予測市場vs口コミ分析~どれが最も選挙結果を正確に予測するか

»

 集合知と言うのは結構具体的にイメージしにくい概念だ。「みんなの意見は案外正しい」という本では、お祭りで牛の体重当てコンテストをしたら皆の投票の平均が正解に近かったとか、行方不明になった沈没潜水艦の位置は聞いてまわった専門家全員の中間の位置に最も近かったとかそういう事例が紹介されていた。
 こういう皆で予測した結果を活用しようという具体的なツールが予測市場だ。先の例で出てきた結果だけを見ると予測市場は効果があってとても凄いツールのように見えるが、そのメカニズムや活用方法、前提条件の整理など、まだまだ研究の余地があるらしい。

 この予測市場の研究や検証に選挙というのは使いやすいらしく今度の衆議院選挙についても集合知を使って結果を予測しようというのが「総選挙予測市場サイトshuugi.in」。静岡大学の佐藤先生の研究サイトで、登録ユーザーに仮想通貨を配って総選挙での各政党の獲得議席数を売買してもらう仕組みで集合知の精度を測ろうとしている。
 選挙の結果を皆に聞くというのは従来の世論調査と同じじゃないの?と思う人もいるだろう。この件については佐藤先生の書いたコラムの記事にその回答が載っているのでそのまま引用しておく。

 まず、世論調査では調査対象者の支持政党などを本人の意向を調査するが、予測市場で参加者に求められるのは自分の意向ではなく、予測対象の最終的な動向である。つまり自分が自民党の支持者だったとしても、選挙で民主党が勝つと考えていれば民主党を高く評価することになる。
 また、世論調査は調査対象となる母集団(選挙の場合は有権者全体)を無作為に抽出したサンプルに対して調査を行い、そのサンプルが母集団の性質を正確に反映いているかどうかが厳しく問われる。一方で予測市場は参加者にそのような性質は求めない。有権者の性質とはことなる参加者集団であったとしても、「予測結果がどうなるか?」という判断をもとに予測市場に参加するため、参加者の代表性を考慮する必要がないという特徴がある。

 そしてもうひとつ。ホットリンクが東大の先生方と始めたサイトが「クチコミ@総選挙」。こちらは投票行動ではなく、もっとシステマチックにネット上のブログや掲示板をクローリングして選挙に関連する書き込みを抽出し、その内容や数を使って結果を予測してしまおうというもの。データ収集は「クチコミ@係長」という既存のサービスを活用しているそうだ。この仕組みはこれまでのいくつかの地方選挙で既に試行済みで、結果としてはなかなかの精度だったということ。

 「クチコミ@総選挙」は今日オープンする。どんな予想を見せてくれるか楽しみだ。投票までには各種マスメディアが従来型の世論調査を行うだろうけど、こうした古い手法と先述した投票型の「総選挙予測市場サイトshuugi.in」、そしてソーシャルメディア時代に検索テクノロジーを活用した「クチコミ@総選挙」どれが最も良い成績を残すか。今回の選挙は熱い戦いになりそうだが、こうした予測手法間の熱い戦いにも注目したい。

Comment(0)