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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

会社の理念や目標が明確になっていると社員は前向きに働く

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 機会があったのでクレイア・コンサルティングのセミナーに参加して「雇用不安とワークモチベーション」という調査結果についてのプレゼンを聞くことができた。先日ITmediaのBusinessMedia誠で「不安や危機感を感じていますか? 正社員と非正社員で違い」という記事になったこの調査の結果だ。

 人様の調査結果とセミナーなのでその詳細結果を書くのは控えるが、聞いていて面白いなぁと思ったのが後半の部分。この不況で最近の社員は「今の状況では会社の目標を達成できなくても仕方がない」「自分の力で職場や会社を良くすることは難しい」というようなあきらめ感、「社員にとって信頼できる会社であるとはいえない」「仕事を通じて自分の能力が十分に発揮されていない」というような会社不信、「機会があれば転職したいが景気が悪いため思いとどまっている」の逃げ腰になっている人が増えているそうだが、その詳細を分析。

 調査時の他の設問への回答を元に①理念や目標が明確になっている組織②評価が公正に行われている組織③個人の成長を支援している組織④メンバー相互に協力・強調している組織⑤活発なコミュニケーションが行われている組織という5つの軸で回答者をそれぞれ肯定者と否定者に分け、それぞれのグループ毎に先ほどのあきらめ感、会社不信、逃げ腰の比率を集計した結果が当日配布された。
 結論としては①から⑤の各軸において自分の組織がそうであると思っている人は、そう思っていない人よりもあきらめ感も会社不信も逃げ腰も低かった。特にその中で一番影響が強いのは①理念や目標が明確になっている組織という軸らしい。「会社の理念や価値観が社員の間に浸透している」「中長期的に会社の目指す姿が明確になっている」「会社から出される方針・計画に一貫性がある」という設問に肯定的な回答をする人は、目標達成にどん欲で会社を信頼し自分の能力が十分に発揮されていると感じるようだ。

 ということでこの調査結果からの示唆は、会社の理念や目標を明確にして社員に浸透させようということになる。具体的には、朝礼や社内報、社内ポータルや社長ブログなどで頻繁かつきめ細かく会社の理念や中期経営計画を社員へ周知することになるだろう。これは確かに良いことだし効果はある。

 ただちょっとだけ気になるのは講師の話や発表資料では“理念や目標が明確になっている組織”となっている部分。ここは“理念や目標が明確になっている人”と捉えた方が良いような気がする。「会社の理念や価値観が社員の間に浸透している」「中長期的に会社の目指す姿が明確になっている」「会社から出される方針・計画に一貫性がある」という設問にどう答えるかはかなり個人差があるように思うのだ。同じ会社でも人によってYesと答えたりNoと答えたりするし、同じ人でも時と場合で回答が結構ぶれるような気もする。
 同じ事を聞いても理解度に差があるだろうし、そもそも人は自分の嗜好と違う内容は耳で聞いても頭には入らない。だとするとどうすれば良いのだろうか、最近増えている一方的な理念や目標の押しつけではなく、よりソーシャル的な双方向的なコミュニケーションなどでこの問題を解決できないだろうか。一度じっくり考えてみたいものだ。

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