イントラブログとグループウェアの違い
社内コミュニケーションツールとしてのイントラブログや社内SNSの導入を検討する企業で良く聞かれる質問に「グループウェアとイントラブログや社内SNSはどう違う(あるいはどう使い分ける)のですか?」というのがある。この話題については既にいろいろな方がいろいろな視点で語っているので、若干いまさら感もあるが、最近私はこういった質問を受けると1つに絞って説明をするようにしている。
イントラブログとグループウェアの違いを一つだけあげると、イントラブログはユーザに対して各個人に支配できる場を提供することにある。しかもこの場は他のユーザからも見える場所に設置される。これに対してグループウェアの場合の場はどうしても管理者主体で設置される共有の場になる。掲示板やフォーラム、文書ライブラリなどは設置の際には各管理者に申請が必要だし、できあがった場を自分一人で占有することは難しい。一応機能的には自分専用の掲示板も作成することができるがこの場合は利用者も自分専用になって、自分以外の人からみれない場になるのが普通だ。
イントラブログでは個人のブログ(日記)は、全ユーザに公平に1つ割り当てられ、ブログの中で何を書いても自由である。カテゴリーなども自由に設定できるし、時にはブログのデザインを変更することもできる。そしてこのブログの内容は、基本的には見たい人からは見れるようになっている。この公開された個人の支配スペースというのが、イントラブログの一番の特徴でありこれまでのグループウェアにない可能性を秘めている機能である。リンクやトラックバックといったブログ同士をつなげる機能は、あくまでこれの付随機能だ。
だからイントラブログの使い方としては、基本的には自分の支配空間なのだから何を書いても良いと思うし、書くくからには自分の為になる情報を書くのが良い使い方だと思う。自分のTodoやメモやふとした感想から例外的な事務をやったときの覚え書き、特例についての処理方法などを自分用に書いておくだけで、後から思い出すためのきっかけや希にしか起きない業務を処理するときの参考に便利に使える。そう何度か書いたように、(自分用の)備忘録として使えば良いのである。
イントラブログの場合はグループウェアと違ってこの各個人の支配空間にある備忘録を他人が見ることが出来る。これが役にたつしノウハウの再利用になるのだ。本人が忘れて困ることやメモとして残しておくと役に立つことは、実は他人(特に新人)が読んで、先達の業務知識を得るきっかけや初めて出くわした例外事項の上手な処理方法の手がかりになる。
従来のグループウェアで提供される場の場合はこれが難しかった。掲示板やフォーラムはあくまで自分のものではなく共用の場であるので、備忘録的なものを書くことは個人的な利用と見なされて非難を浴びかねないし、実際にそういう使い方は好まない人という人も多い。
筆者もその昔、まだイントラブログが無い時代にスケジューラーに毎日その時に自分が処理しないといけないタスクやTodoを書きこんで、備忘録&プロジェクトメンバーへの共有に使っていたことがあるが、しばらくしたら何故かプロジェクトメンバーでも同じ部署でも無い人から「使い方がおかしい」「スケジューラーに書くべき事ではない」というクレームが入って、そういう利用法を断念したことがある。
実際組織には、何故か個人が持つ情報を気軽に供出したり各個人の業務上の活動状況などを情報共有することに対して強烈に反対する人が必ずいる。今日書いたイントラブログを導入して各個人の支配空間として備忘録的なパーソナルパブリッシングツールとして活用する方法を説明するとそんな暇は無いだとか書いても意味がないとかいう反対意見を述べる輩である。経験からいってこういう人種は、えてして「忙しそうにしているけど実は余裕があって暇」な人に多く「本当に忙しくて少しでも楽をしたいと工夫をしている人」や「与えられた業務が適度でちょうどこなせている人」は、あまりこういう文句は言わないものだ。
さてイントラブログとグループウェアの違いを簡単に説明するつもりが、なぜか後半はイントラブログの有効な使い方や抵抗勢力の話に脱線して長くなってしまった。次回はSNSとグループウェアの違いについて、書いてみたい。