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“軽自動車1台分の費用”でヨットを所有して港や島を旅できる、ってホント?

旅するヨットの船長は"陸戦隊"で出撃する

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ビジネスに何の役にも立たないのがとりえのこのブログは、私が自分の目で見たことと耳で聞いたことと体を張って体験したことだけを記し、上から目線の鼻持ちならない提言なんぞは決して書かないのを信条としてきました。

しかし、今回だけは、その枠をはみ出して、えらそうに提言なんぞをしてしまったりするのです。
身の程知らずで、ほんっとごめんね。

というわけで、災害ボランティアのお話なのです。何でも人手が足りないんですって。ボランティア自粛のせい、という意見もありますが、今回、ボランティアの参加規模がなかなか拡大しない理由の1つに、「地元在住」もしくは「活動の自己完結」という条件が依然として求められることが大きいではないかと思うのです。

「交通、宿泊、食事の確保は自分で」といわれると、アウトドア未経験者は躊躇してしまうのではないかなと。特に東北の甚大被災地は被害が比較的少なく宿泊や食事が確保しやすい都市部から遠隔地にあることが多く、公共交通手段では朝出発しても到着が昼前となるため、
ボランティアとして活動するには甚大被災地に野営する場合もあるようです。

(これは、地域によって条件が分かれる。仙台のように甚大被災地へシャトルバスを出しているケースもあれば、福島県ではベースとなる中通り地方の都市部から公共バスで移動すると、浜通り地方の甚大被災地に着くのは早くても昼前になる。交通状況も変わるので、最新情報は確認する必要あり)

それでも「手助けをしたいけれど何をどうしたら分からない」という若い人も多いと聞きます。そういうときに、一番信用でき、かつ有用な情報源は実際に体験した人の記録です。

で、知り合いのライターさんが3月の末に石巻に入ってボランティアを行ってきた記録を公開しています。ベテランのテクニカルライターだけあって、災害ボランティアの情報収集方法や準備したい装備、アクセス方法や実際の活動の状況など、写真を交えて分かりやすくまとまっています。これから、現地で活動したいと考えている人は、ぜひ参考にしていただきたいです。

【報告】石巻で災害ボランティアをしてきた(準備編)


(以上2つの記事は、ブログ「大塚実の取材日記」より、著者である大塚実氏の了解を得てリンク)

宿泊、食料、交通手段など、行動の自己完結度で言えば、巡航ヨットは災害ボランティアのベースとして非常に適した条件をそろえていたりします。26フィート程度の小型ヨットでも、3人程度が体を伸ばして寝ることもできればトイレもある。料理もできれば食料も1週間は無補給で行動できるだけの備蓄を搭載できます。

今回の災害では燃料確保も大きな問題でありましたが、速度は遅いながら燃費のいい小型ディーゼルエンジンだけでなく、風さえあれば帆走で燃料を消費することなく作戦行動が可能です。電気も自力で発生できるので、ノートPCや小型デバイスを持ち込めば情報通信センターとしても運用可能です。

とはいえ、ある程度まとまった規模が求められる災害ボランティアや支援物資を投入するには小型ヨットの積載能力は圧倒的に足りません。また、今回の災害のように港湾の被害が大きい場合、救難や支援の本船が使う係留岸壁を確保するだけで精一杯で、ヨットが泊まっていたら邪魔になることも考えられます。

さらに、これは、非常に残念なことですが、津波で押し流されたヨットやパワーボートが陸上の家屋に衝突して被害を出したと思われている地域もあって(この件については事実を詳しく検証する必要があり、実際にプレジャーボートが原因で被害を出したかどうかは、現時点では断言できません。ただ、そのように考えている被災者が少なからずいるということは、事実として受け止めなければならないでしょう)、そういう状況でヨットが被災地に入港して長期間係留するのは問題をこじらせる原因になりかねません(ボランティア活動のベースとなっている姿を見て考えを変えてもらえるきっかけになるかもしれませんが、それは、現地のヨット乗りたちと調整してから考えたい)。

では、"旅するヨット"乗りは何の役にもたたないのでしょうか。
いや、活動の自己完結で求められる条件をもう一度考えて見ましょう。

・何日も風呂に入れなくて平気ー?>航海中と同じだから平気でーす!
・何日も寝袋で寝て平気ー?   >航海中と同じだから平気でーす!
・何日も缶詰食事で平気ー?   >航海中と同じだから平気でーす!
・何日も同じ服を着たままで平気ー?>航海中と同じだから平気でーす!
・何日も服を着たまま寝て平気ー? >航海中と同じだから平気でーす!

おおっ!旅するヨットなら、いつものことじゃないですか。

ならば、船にあるガスコンロと寝袋と備蓄食糧をザックにつめて、巡航できているオイルスキンを身にまとい、1人用ツェルトを買って陸路被災地に向かえばいい。旅するヨット乗りは"陸戦隊"になればいいじゃないか。

ということで、何か力になりたいけれど、ヨットでなにができるか分からないと悩んでいた"旅するヨット"の船長は、GWは混雑する港ではなく、陸戦隊となって東北太平洋沿岸に赴こうかなと考えてみたり。

#東北に実家がある人は、顔を見せにちょっと帰るだけでもいいと思うよー。私も手伝うつもりで帰省したら「やっぱり邪魔」「何で1人で帰ってきた」「孫の顔がみたい」とえらい言われようだった上に、実際なにもできなかったけれど、それでも、実家の面々はいい気分晴らしになったもよう。

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