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マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

「シャネルなマダム」。メイク用化粧品市場を眺めてみる... -データから見るペルソナ図鑑(34)-

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 2013年の化粧品市場は2年連続で1%増となったようです。2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災などによって厳しい状況が続いていましたが、経済環境が上向き、ようやく増加に転じたとされています。

 富士経済が発表した化粧品市場の売り上げは2兆3,249億円。従来、化粧品業界ではブランドをチャネル毎に展開するのが主流でしたが、百貨店ブランドのオンライン通販、コスメセレクトショップへの展開、訪問販売ブランドの百貨店やオンライン通販への展開と、ブランドがチャネルを横断し、ここでもチャネルのボーダーレス化が進み、ますますブランド訴求力が求められる時代に突入しました。

 というわけで、少し時間が空いてしまいましたが、女性向けメイク化粧品市場の第二弾として「シャネル」を使っているユーザーのペルソナ像を見てみたいと思います。


【メイク用化粧品のブランドポジション】

 前回のお話しとダブりますが、シングルソース・消費者パネル「ぺるそね」で、メイク用化粧品のブランドポジションを見てみたいと思います。前回はベスト15位のブランドを平均年齢×世帯年収でポジショニングしましたが、今回は平均年齢×おこづかいでポジショニングしてみました。

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 可処分所得であるおこづかいで見てみると、若い層のブランドにちょっと差が出ます。マジョリカマジョルカのおこづかいはマキアージュと並ぶくらいになっています。ちふれが一番低くなっていますが、オルビスがちふれと近づいています。でも大体のグループは変わらず4つくらいに分けられます。

●年齢が高くおこづかいも高いエリアに「シャネル」「ランコム」などの高級インポートブランドグループ。

●年収の低いエリアに「ちふれ」「オルビス」「セザンヌ」などのお買い得ブランドグループ。

●年齢がやや若くおこづかいがやや高いエリアに群がる「マキアージュ」「メイベリンニューヨーク」などのOL御用達ブランドグループ。

●若いエリアには「マジョリカマジョルカ」「キャンメイク」などの若い女性向けブランドグループ。

で、今回スポットライトを当てるのは、高級インポートブランドグループから「シャネル」のユーザーです。この人たちを「シャネルなマダム」としました。


【「シャネルなマダム」ってどんな人?】

 「ぺるそね」の女性回答者は15,345名。そのうち「シャネル」を購入しお気に入りと答えている人は733人いらっしゃいます。女性全体の約4.8%ですね。年齢層は50代の女性の出現率が高くなっています。年齢層が高い割には既婚率、有子率ともやや低く、平均世帯年収は女性全体と比較し193万円も高くなっています。会社員、自営業、自由業の出現率が高くなっており、東京都在住の方の出現率も全体との対比倍率1.7倍です。

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 旅行好きです。国内、海外ともによく行っているようです。女性全体との対比倍率が2.0倍以上の趣味を挙げてみると「海外旅行(2.7倍)」「観劇(2.1倍)」「ネイル(3.0倍)」「エステ(3.1倍)」「ダンス(2.4倍)」「華道・茶道(2.7倍)」となっています。

 また、興味・関心ごとでは「旅行」「美容」「コスメ」「ファッション」「外食・グルメ」などが上位にランクされ、対比倍率が2.0倍以上の項目は「語学(2.1倍)」「資産運用(2.0倍)」「政治・社会情勢(2.3倍)」「留学・海外生活(2.6倍)」となり、活動的でおしゃれ、グローバル志向で、かつ社会への幅広い関心の高さを伺わせます。また、お酒は外で飲む人が多く、「ワイン」がお好みです。

 情報源としては「新聞の電子版」の対比倍率が高く、「日本経済新聞」の出現率が全体との対比倍率2.7倍です。また、「雑誌」「屋外広告」「口コミ系」が高くなっています。テレビは平均並みですが、「海外ドラマ」ファンは多いようです。

【ブランド好きなリーダータイプ】

 価値観傾向は「ブランドものを持つのが好き」で「周囲からアドバイスを求められることがよくある」人たちです。特にファッションへの関心度が高く、流行も先取りするタイプです。多くの商品の購入決定要因は総じてブランドで選ぶと答えた人達が多くなっています。名の通ったブランドの品質の高さをモノ選びの基準にしている人達と言えます。品質の高いブランドのものを身につけることで、彼女たちは周りに対して情報を発信しているのです。

 目指すセルフイメージは「洗練された」「センスがよい」「品性がある」などが全体と比較し高くなっています。女性として、外見だけでなく内面まで「オトナの女性」を目指しているイメージでしょうか。仕事を含めた生活の端々まで、ポジティブな姿勢が見えてきます。

 所有しているクルマは輸入車が多く登場してきます。全体との対比倍率で高いのは「アウディ(4.7倍)」「レクサス(3.8倍)」「ゴルフ(3.6倍)」「BMW3シリーズ(3.8倍)」「メルセデスCクラス(5.0倍)」「ボルボ(4.0倍)」などで、欧州車の所有が高くなっています。

 好きな男性タレントは「竹野内豊(1.7倍)」「渡辺謙(1.7倍)」「桑田佳祐(1.8倍)」など。女性タレントでは「松雪泰子(1.7倍)」「井川遙(1.8倍)」「吉永小百合(1.8倍)」などが登場してきます。

 いつものように「ペルソナ・イラスト」を掲載しますのでご確認ください。

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 昨年発売になった世界文化社の女性雑誌「GOLD」が話題になったのも記憶に新しいですが、そのターゲットは80年代に青春時代を過ごした女性たちです。この雑誌ではこの世代の女性をゴールド世代と名付けています。年齢的には、すでに40代も半ばを過ぎ、アラフィフ(50歳前後)に達しています。「シャネルなマダム」は、まさにこの雑誌のターゲット層と重なるのではないでしょうか。

 「シャネルなマダム」のデータを見ていると、若い頃にバブル社会を経験し、子育てを終え、もう一度自分を取り戻そうとするパワフルなライフスタイルが見えてきます。折しもアベノミクス効果により、株などの資産価値が上がったことから、昨年(2013年)は、低迷を続けてきた百貨店周辺から高額商品が好調というニュースが流れてきたり、欧州車を中心とした輸入車の新車登録台数が増加していることが話題になったり、もしかするとこの人達が何らかの形で消費を牽引しているのかも知れません。

 ついでにご紹介すると、同じく世界文化社から、マーケティングライターの牛窪恵さんが書いた「『バブル女』という日本の資産」という本が発売されています。「今、最も元気な"永遠の勝ち組世代"の消費を読む」とあり、「根拠なき自信を胸に突っ走る、それが私たちGOLD世代」と続きます。この居直りっぷりが痛快ですが、この本の中で「バブル女性」を「セレブ系」「キャリア系」「おひとり系」「カルチャー系」「リベンジ系」の5タイプに分けて解説していいます。ご興味がある方は読んでみてはいかがでしょう...

 さて、「シャネルなマダム」いかがでしたでしょうか?次回は「ちふれ」のユーザーにスポットを当ててみたいと思いますので、お楽しみに...

あわせてこちらもお読み下さい。

「マキアージュなレディー」について。メイク用化粧品市場を眺めてみる... -データから見るペルソナ図鑑(33)-


*データは「ぺるそね」調べ。2013年8月 n=30,473
*「シングルソース・消費者パネル ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
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