「ニコ動ガール」と「2ちゃんガール」-データから見るペルソナ図鑑(13)-
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ゴールデンウィークに開催された「ニコニコ超会議」。「ニコニコ動画のすべて(だいたい)を地上に再現する」がコンセプトでした。会場の幕張メッセへの来場者数は2日間で9万2384人。さらに、ニコニコ生放送での中継の視聴者は合計で347万766人。その熱気はニュースなどでも随分取り上げられ、話題になっていました。
つい先日も「ニコニコ出身者がオリコン上位へ--激変するJポップの新人発掘」という記事を読みましたが、ニコニコ動画出身の歌手、音楽クリエイターが続々とメジャーデビューしています。「ニコニコ超会議」の熱気から見て、「ニコニコ動画」が、まさに日本のサブカルチャーのインキュベーターとして機能しています。
そんなわけで、今回は「ニコニコ動画」を好んでいるユーザーの方々をデータから見ていきたいと思います。対比するユーザーは、こちらも日本のサブカルチャーの代表選手である「2ちゃんねる」を選んでみました。
【「ニコニコ動画」と「2チャンネル」のユーザー】
クラウド型消費者分析ツール「ぺるそね」には、「お気に入りのインターネットサイト」という項目があります。「ぺるそね」の全サンプル29,093人のうち「ニコニコ動画」を選んだ方は5,232人。また、「2チャンネル」を選んだ方は3,867人いらっしゃいます。どちらも平均年齢は低く、やや男性が多くなっています。
お気に入りのインターネットサイトのポジショニング
中心となる年代を割り出すために「ぺるそね」の年代構成をもとに、日本の人口動態に合わせて補正したデータを見てみると、「ニコニコ動画」「2チャンネル」ともに15〜24歳の比率が最も高くなっており、学生が中心になっていると考えられます。
女性ユーザーの年齢構成
それでは分析のセグメントを決めましょう。多分、若い人々のトレンドをリードするのは男性よりも女性と考えられるので、今回は女子学生(高校生、大学生、専門学校生、大学院生)を対象にしました。「ニコニコ動画」がお気に入りの女子学生を「ニコ動ガール」、「2ちゃんねる」がお気に入りの女子学生を「2ちゃんガール」と定義しました。さっそく「ニコ動ガール」(419サンプル)と「2ちゃんガール」(200サンプル)をデータから見ていきましょう。
【「ニコ動ガール」と「2ちゃんガール」ってどんな人?】
「ニコ動ガール」は「できるだけ周りの人とは違うものを持ちたい」と思っており、「自分が周囲からどのように思われるかが気になる」という傾向が強い人達です。それに対し「2ちゃんガール」は「まわりの人が持っているものを、思わず欲しくなってしまう」ことが多く、「次から次へと欲しいものが出てきて困る」という傾向が強くなっています。
双方とも、自分自身のセルフイメージは「自分らしさがある」「センスがよい」「個性的」「ユニーク」「ワクワクさせる」「独創的」などが上がってきており、一般的な女子学生とは違った、個性的で独創的な生き方をめざしている人達と言えるでしょう。
この二つのグループの特徴的な共通の趣味は、「カラオケ」「マンガ」「テレビゲーム」「音楽(鑑賞・演奏)」で、女性全体と比較し特に高くなっています。テレビはあまり見ません。視聴時間を全体と比較すると女性平均の3.0時間に対し2.2〜2.3時間で25%ほど短くなっています。その代わりネットの接続時間はPC、ケータイともに長く、PCでは女性平均が2.8時間に対し3.4時間。ケータイは1.0時間に対し1.9時間となっています。まさにネットで様々な情報を得ている様子が見えてきます。ちなみにスポーツはしていないと答えている人が60%を超えます。この人達はインドア派が多いようです。
興味関心事を女性全体との比較倍率で見てみると、「ニコ動ガール」のトップは「アニメ・漫画」で、「ゲーム」「恋愛・結婚」と続くのに対し、「2ちゃんガール」はトップに「恋愛・結婚」が来て、続いて「アニメ・漫画」「ゲーム」となります。このへんの意識のちょっとした差が好みのファッションにも現れています。
好みのファッションブランドは、「ニコ動ガール」が比較的ボーイッシュなブランドを好んでいるのに対し、「2ちゃんガール」はガーリーなブランドが好みのようです。「2ちゃんガール」の方が少しだけ男性の目を意識しているような印象です。また、「2ちゃんガール」は「ビレッジバンガード」が特にお気に入りのショップという結果でした。いつものように「ペルソナ・イラスト」を掲載しますのでご参照下さい。
ペルソナ・イラスト
【好きなキャラクター、漫画・アニメに特徴が...】
この二つのグループのお気に入りを見ていくと、好きなキャラクターや好きな漫画・アニメが特徴的なことに気づきます。まず、好きなキャラクターですが、「ニコ動ガール」の好きなキャラクターベスト3は、「初音ミク」「不思議の国のアリス」「リラックマ」です。同様に「2ちゃんガール」は「初音ミク」「ピカチュウ」「トトロ」となり、どちらも「初音ミク」がトップでした。「初音ミク」は女性平均の10倍以上の選択率です。
「ニコ動ガール」の好きな漫画・アニメは「鋼の錬金術師」がトップで、「2ちゃんガール」は「デスノート」がトップです。女性の平均と比べて倍率の高いものを並べてみると「Axis powers ヘタリア」「荒川アンダー ザ ブリッジ」「黒執事」「銀魂」「テニスの王子様」「聖☆おにいさん」などが上がってきます。皆さん、この漫画・アニメ全部わかりますか?。私は題名を知っているものがいくつかあった程度です。
ネットへのアクセス時間が長く、アニメ・漫画等への興味が高い。そして個性的で独創的な生き方を目指している「ニコ動ガール」と「2ちゃんガール」。多分ネットコンテンツへの関わり方も、「視聴する」という意識よりも「参加する」という意識の方に近いのではないでしょうか。こんな背景から「ニコニコ超会議」が大きな盛り上がりを見せたのかもしれません。
【なんとなくのまとめ...】
さて、ここまで「ニコニコ動画」と「2ちゃんねる」の女子学生ユーザーを見て来ました。データを解釈するプロセスの中で、サブカルチャーとしての漫画・アニメに対する好みや、ネット・コンテンツの世界に関わる若い人達にはあまり性差はなく、ユニセックス化してきている印象を持ちました。また、ネットの中では、クリエイターとオーディエンスの関係がフラット化することで、「N次創作」という新しい価値創造のスタイルを産み出したのではないかとも思えてきました。「フラット化」はグローバルというマクロな視点だけでなく、性差、年齢差、地位、立場といったミクロな視点の中でも起こっているということでしょうか。
かつて、アルビントフラーが「第3の波」の中で「プロシューマー」として「生産者」と「消費者」の融合を予言しましたが、「ニコニコ動画」の中では生産者としての「クリエイター」と消費者としての「オーディエンス」が、現実に一体化してきているように思います。私自身は彼女たちの父親よりも上の世代ですが、この人達が熱中するサブカルチャーが突然メジャーになったとき、そのことに面食らわないように、心の準備だけはしておこう、と思いました。
「ニコ動ガール」と「2ちゃんガール」、いかがでしたでしょうか?このブログで取り上げて欲しいブランドユーザー、比較してみたいブランドユーザー等ありましたらリクエストをお寄せ下さい。(データの取得の問題でご希望にそえないこともあるかも知れませんが、頑張ってみますので...) → Twitter ID @keijix55
*データは全て2011年9月「ぺるそね」調べ。n=29,093
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