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社員の時に見ていた店の状況、オーナーになってから見ている店。見ている方角が違うとこんなにも違うコンビニの光と影。お客様とは何にも関係無いところで巻き起こるあれやこれ。(笑

立ち読み禁止にしてみたら売上伸びた

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 コンビニが立ち読みを黙認している理由に、3つあるのは有名な話だろう。

1、ついでに買い物してくれるので売上になる。
2、深夜時間帯の防犯対策になる。
3、誰もいないより、誰か居た方が顧客吸引となる。
 
 従来から言われてきたことだが、疑問に感じてきた。
 本当に売上になっているのだろうか?本当に防犯となっているのだろうか?

 24時間の観察は難しいので、自分がいる時間の立ち読み状況を見た。すると...

 30分以上立ち読みをしている人の購入が低いことを発見。コンビニには、1時間を超えて立ち読みする人も珍しいくないが、当然長い時間立ち読みしているのだから、さぞかし売上に貢献してくれているのだろうと思っていたが、間違いであった。5分程度パラパラと雑誌等をめくっている人の方が売上に貢献してくれているのだ。
 更に観察、コミックを立ち読みしている場合に立ち読みが長時間となることが分かった。

 防犯上の貢献度はどうなのだろう。
 これも、コミックの立ち読みが、コミックの万引きにつながっていることが判明。長時間コミック陳列場所にいるので、従業員の目を盗みやすくなっているのだ。
 来るか来ないか分からない強盗への抑止力どころか、目の前の万引きを誘発しているではないか。

 これには参った。

 短時間の立ち読みは従来から言われてきたことに当てはまるが、長時間の立ち読みは店にとってマイナスでしかない。
 そこで、長時間立ち読みの一因であるコミックの立ち読みを禁止してみることにした。
 方法は、本屋さんなどで実施しているシュリンクパック(コミックに巻いてあるセロハン状のモノ)を用いた方法でやろうと考えたが、コストが高い。
IMG_0041.jpg
 あきらめかけた時、ホームセンターで梱包用のラップを見つけた。














 これなら、コストが安く済む。コミックに巻きつけるよう梱包し、陳列。
コミック.jpg
 100%じゃないが、コミックの立ち読み禁止を開始。

 コミックの売上が落ちるだろうと想定したが、長時間の立ち読みを防ぐことでのメリットを取ることにした。
◯回転率の向上
 立ち読みをする人も車で来店する。長時間立ち読みする人が増えれば、狭い駐車場に車はあるが、売上にならないという状況になる。特に昼間のピーク時間にやられると、最悪だ。
◯コミックのロス削減
 長時間立ち読み者が買い物をしないことより、ロスが発生することの方が店にとってはマイナスである。これを防ぐメリットを選んだ。
◯オペレーション改善
 いつ終わるか分からない立ち読み者をレジ前で待っていることは、オペレーション上マイナスである。特に深夜時間帯は、雑用にレジを離れることが多い。長時間立ち読みされると、このオペレーションが進まないのだ。

 以上の3点を改善することを目的として、コミックの売上減少には多少目をつむることにした。

 想定外である。

 コミックの売上は減少するどころか伸び始めたのだ。まだ、始めて4ヶ月なので早計だが、たしかに売上が伸びている。
◯コミック系の売上前年比
8月 140%
9月 160%
10月 120%
 ざっくりとした数値(バレるとイケないので、細かくは出せません^^;)だが、以上の推移。ちなみに、禁止前は、3ヶ月平均で前年比96%でした。

 何故だ?
 開始2ヶ月過ぎた辺りから気になり出した売上伸長。観察すると...

◯立ち読みできないから買う
 立ち読みで済むなら立ち読みしちゃおうって、人もいたようだ。数えるほどだが、コミック立ち読み常連の中で、立ち読みせずに買っていくのを幾度か見た。
◯立ち読みされていないから買う
 これはある意味意外であった。本屋等では真っサラなモノが欲しいという人も多いだろうが、コンビニは元々立ち読み前提である。真っサラであるとかは気にしない人が多いと考えていたが、間違っていたようだ。
 簡易的な包装ではあるが、それでも商品の信用度が上がったのだろう。

 想像の域は出ないが、以上が売上改善の理由だと考えている。

 当初の目的である、コミックのロスは改善(棚卸の結果ほぼロスがない)。オペレーションの改善と回転率の向上は定量で測れていないが、多少の貢献はされているようだ。

 「本来ならこういう実験検証は本部がやるべきだろ」と本部社員に言ってみたが、ヘラヘラしているだけだった。相変わらず役立たない連中だ。

 全国のコンビニオーナー、筆者と同様の悩みを持っていたら立ち読み禁止にして見るのも一興だろう。売上の増減は保証しませんが...
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