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社員の時に見ていた店の状況、オーナーになってから見ている店。見ている方角が違うとこんなにも違うコンビニの光と影。お客様とは何にも関係無いところで巻き起こるあれやこれ。(笑

タテマエ予算と名付けてみた

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 とある季節商材のことだ。当店では、自店で立てた予算をクリアした。クリア直後に、本部の担当者が「もう少しがんばりましょうよ」などと、言ってきた。当然ながら「何故?もう頑張ったからいいよ」と返す。

 サービス業に有りがちなことだが、仕事に着地点を設けない。特にコンビニはエンドレスに営業している。日常において「終わったぁ」と実感することが少ない。
 だからこそ、筆者は、各々の施策に必ず着地点を設けるようにしている。そうでないと、達成感が味わえないからだ。確かに、頑張れば頑張るほど、利益は積み重ねられるだろう。しかし、それでは、疲れてしまう。疲れは接客業に禁物なのだ。必ずサービスの低下を招くからだ。
 
 本部社員によく話を聞くと、前年にムチャクチャな値引きをしてさばいた、その季節商材だったが(当店ではやらなかったが、地域のアチコチの店で値引きをしてたらしい)、予算を作る時に、そのムチャクチャな販売分に、更なる上乗せをした数値を予算としたからだそうだ。だいぶ前にこんなエントリーを書いたのだが、変わったと思ってた会社はちっとも変わってなかったのである。(測る度に寸法が変わるモノサシは使えない
 かなりのプレッシャーをかけられて来たらしく、あの手この手で、筆者をおだてて更なる頑張りを引きだそうとしているが、当店にとっては、その施策は終了したものである。

 「アホだなぁ」無常にもこの言葉しかかけられなかった。

 "予算"というのは、読んで字の如く予め算出するモノだ。予め算出するには、様々な要因を考慮しなくはならない。前年の数値というものは、その中の一つの要因であって、それ以外にも沢山のことを考慮しなくはならない。
 それを、前年◯◯個だから本年予算は◯◯個。アホの極みとしか言えない。
 出来もしない予算に向けて、無駄に従業員を動かしたり、売れないものを沢山仕入れたりしたら、余計な経費がかさむではないだろうか。無茶な予算を立てたが為の無駄な経費。そんなに金が余っているならロイヤリティを下げて貰いたいくらいだ。

 予算は、前年より上の数値でなければならない。そのような考えに凝り固まっているのだろう。株式を上場している企業の気持ちなんて分かりもしないのだが、根拠のない数値を上乗せした予算を作って何の意味があるのだろうか。株主に向けての方便?
 それならば、そんな予算は「タテマエ予算」と名付けた方が、従業員も救われる。「あっ、本気で言ってるわけじゃないんだ(笑)そりゃそうだよねぇ」ってね。

 筆者は、予算を仕事の達成感を味わうものと考えている。それは筆者の考えだから、コレが正解とは思わないが、出来もしない予算を追いかけている会社員を見ていると、可哀想になる。


 ※無茶な予算を提示することで大きな躍進するなんて話も聞くが、それは別の話だろうと筆者は考えている。長くなるので、その話はまたの機会にしたいと思う。
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