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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

「変化」を語るときには○○がつきもの ~ ロジックパターンを見きわめる(3)

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前回記事で「主張+根拠」というロジックパターンについて書きましたが、
この例文には別なパターンも見えます。
(↓例文を再掲)

ネット上にはさまざまな料理レシピを集めた料理情報サイトがあるが、そこへのアクセスが集中するのは午後4~5時台だという。ちょうど主婦が夕食の買い物に出かけようとする時間帯だ。料理サイトを見て夕食メニューを考えてから、必要な材料を買い物にいく、という習慣は若い世代を中心に完全に定着しており、ある調査では20代主婦の半分以上に達する。
スーパーなどの流通業界では、「買い物に来て売り場の食材を見てから夕食メニューを考える客が多い」と考えられてきたが、その常識も変わりつつあるようだ。

それはどんなパターンなのかを考えるために、関連する部分を抜き出してみましょう。

  • スーパーなどの流通業界では、「買い物に来て売り場の食材を見てから夕食メニューを考える客が多い」と考えられてきた
  • 料理サイトを見て夕食メニューを考えてから、必要な材料を買い物にいく

つまり、「昔はこうだったけれど今は変わった」と「変化」を語るパターンです。
ビジネスシーンでは「変化」を説明しなければならない場面はとても多いので、このパターンも知っておくとよいでしょう。

これは単純な話で、図に書くとこんな形です。

変化ときっかけ1.PNG

さてここで問題ですが、もしこの図のA・Bの部分に何かを書き足すとしたら、どんな情報が入ると良さそうですか?

(A)を考えるにあたっては、(C)がヒントになります。
(C)の内容は主張と根拠の「根拠」ですね。

一方、「昔はこうだった」というのも「主張」にあたるので、その隣に書く(A)はやはり「根拠」にすると良さそうです。

さらに、「変化」があったと聞くと

   なぜそんな変化が起きたのか?
   なにがきっかけだったのか?


が気になりませんか? 気になりますよね

そこで例えば「インターネットが広く普及したことと、有力な料理レシピ情報サイトが登場したことがこの変化をもたらした」といったことがわかっているとしましょう。この情報、どこに書くのが適切でしょうか?

そう、(B)の位置が最も適切です。

つまり、何か「変化」が起きたときにその前後の状態とその裏付け、変化のきっかけ、を語るとこういうパターンになるわけです。

変化ときっかけ3.PNG


先ほども書きましたが、ビジネスシーンでは「変化」を説明しなければならない場面はとてもよくあります。このパターンが出現する機会も非常に多いですね。

こういうパターンを知っておくと、人に説明するのも楽ですし、自分が論理の穴を検証するときにも役に立ちます。
たとえば、こうしてパターン化してみると、「あれ? (A)の情報が出てないな。(B)も書かれてないのはなぜだろう?」 と気がつく様になります。ぜひ、いろいろな場面でロジックパターンを考えてみてください。




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