オープンソースの業務システムを選択肢に加えよう!
こんにちは。シンキングリード(株)で新規事業を中心にサービス開発をやっている松田です。サービス開発の傍で当社のオープンソースCRM(F-RevoCRM)を見て、いくつか誤解をしていたことからオープンソースの業務システムで意外と知られていないことや、日々のサービス開発で気がついたことをお届けしたいと思います。
※ここで述べる業務システムとはグループウェア、SFA、CRM、プロジェクト管理、文書管理、ERP、ECなどを指しています。
オープンソースの業務システムはどのくらい使われているのか?
IDC Japan、2015年4月発表の「国内企業におけるオープンソースソフトウェアの利用実態調査」によるとエンタープライズ分野はSugarCRMが4.5%、OpenOLAPが3.9%の二つしか掲載がなく、その他のソフトウェアは国内ではさらにマイナーと思われるため、さらに低いの利用実態であることが予想されます。
国内企業におけるオープンソースソフトウェアの利用実態調査結果を発表
これを見る限り、オープンソースの業務システムは全く普及していないと言えます。そのため、皆さんの意識からすればオープンソースの業務システムは検討する余地もなく全く使えない印象をお持ちではないでしょうか。
実はオープンソースと商用の違いは少ない
それぞれの特徴を挙げると以下に集約されます。
○商用パッケージ、SaaS等の特徴
- 利用人数による課金
- オープンソースのものよりも高機能(であることが多い)
- 日本語完全対応
- 自社でソースコードレベルの保守、カスタマイズ不可
○オープンソースの特徴
- 無料(SaaS提供の場合は利用人数による課金をするものもある)
- 基本的な機能のみが多く、気の利いたものが用意されていない
- 国産以外は日本語化されていない部分が多い
- 自社でソースコードレベルの保守、カスタマイズ可
これを見て、他に保守は?インストール代行は?初期設定支援は?クラウドは?コンサルは?汎用性は?カスタマイズ性は?安定性は?大規模運用は?と次々に「?」が浮かぶことでしょう。
しかし、これらで差が付くことはほとんどありません。
業務システム系のオープンソースは運営会社が保守サービス等を提供していることが多いことや、中小企業を中心に数多くのベンダーがSIやコンサルティングサービスを用意しているため、「保守サービスあり」、「インストール代行、初期設定代行あり」、「クラウド的なサービス提供あり」、「ベーシックな機能しかないので汎用性が高く、動作が安定」などこれらの観点で商用パッケージと変わりはありません。
また、カスタマイズ性についても商用パッケージ、オープンソースで差はありません。ソースコードレベルのカスタマイズであっても、実際はここで挙げられるほどの差はありません。(結局は委託先のカスタマイズ担当者の腕と掛けられるコスト次第です。)
オープンソースを選択肢に加えるのは「アリ」
全てにおいてオープンソース利用がベストとは限りません。使いたい機能が商用パッケージのみにしかないこともあるでしょうし、それをカスタマイズ開発しても費用面で割に合わないこともあります。
また、force.comやkintoneのようなサービスを利用してセミスクラッチ開発をしても良いでしょう。
しかし、もう一方で業務要件がマッチすればオープンソースを選択することで圧倒的にコストを下げられることや、多少のカスタマイズならば3年間の利用費用などと比べて断然お得になることもあります。
QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)の観点で利用するサービス、製品等を見ていくと一長一短あるため検討の余地が十分に残されているはずです。
比較もせずに対象から外すのではなく、しっかりと比較した上で何を採用するか決めて見てはいかがでしょうか。
実例を交えてこの辺りの踏み込んだお話もしたいところですが、その前に次回はどのような業務システムがオープンソースで入手可能なのかお伝えしたいと思います。