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経営現場で必要となる経営者のマインドや視点に対する一考察

IT企業に起こる成長の壁

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 私は職業柄、多くの経営者の相談に乗ってきました。そういった会社の成長の鈍化地点を見ていると驚くほどに共通しています。船井総研では成長の壁と呼んでいる年商規模に【1,3,7】というパターンがあると考えています。これは年商1億円、3億円、7億円、10億円、30億円、70億円、100億円・・・といった成長に対する壁を指しています。実はこの成長の壁、年商の裏にある社員数が大きな原因となっています。システム開発を主体とするソフトハウスでは、一人当たりの年間売上高は800万円前後が平均です。そう考えると、1億円とは10名前後、3億円では35名前後、7億円で80名前後といった計算になります。こうした社員の増加に伴う経営の仕組みの変化が成長の壁となるのです。

 ソフト会社で言えば、年商3億円・社員数35名前後であれば経営者一人の力量で作り上げる事が出来ます。ところが、それ以降の規模になると幹部社員の力が必要になってきます。ところが、この規模の経営者は全て自分の影響力の範囲で仕事をしたいと考えてるので、優秀な幹部が育たずに次のステージに向かう事が出来ません。この様に社員数の増加に従い経営の仕組みが変わるのですが、その事に無頓着な経営者はこの成長の壁にぶつかり続けます。これも中小ソフトハウスの経営者にとって必要・必然なのです。社員数が増えてきたら、経営の仕組みを変えなければいけないのです。そこに気付かせる為に成長の壁は存在します。

 こうした成長の壁で停滞している会社に入ると、経営者はストレスの塊になっています。特に上昇志向の経営者に多いのですが、自分の思っているスピードに対して社員が付いて来れていないと感じているのです。そのボトルネックとなっているのは多くの場合、経営者です。船井総研では、企業は99.9%トップで決まると考えています。そこに間違いはありません。その会社にある課題の多くは、経営者が意識を変えるだけで解決できる内容の方が圧倒的に多いのです。成長の壁はどんな企業にも発生します。右肩上がりに成長する事はまずありません。必ず踊り場を超えて、次の成長ステージに展開します。その時に経営者が何に気付くことが出来るのか、成長の壁を前にしてそれを【必要・必然】と感じる事が出来るのか、そこに会社の分岐点が存在しているのです。

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