最近のインターネットについて
最近、妙に忙しくなっています。そのせいで、このブログの更新も停滞気味です……。(^^;
さて、今回はISPの帯域制限に関して話を振りたいと思います。今年の3月に、ぷららが明示的にWinnyにターゲットを絞って通信を規制すると発表しました。それに対して総務省は、ぷららのWinny完全規制は違法性があるとして待ったをかけました。これは、ぷららが取ろうとした方法が電気通信事業法に定められた「通信の秘密」を侵害すると(総務省が)判断したからです。
日本国憲法の第21条には「集会・結社・表現の自由、通信の秘密」に関する記述があり、その中で「通信の秘密は、これを侵してはならない」と書かれています。これは、その通信内容はもちろんのこと、誰が誰に通信をしたかということや、そもそも通信があったのかということまで含めて秘匿されなければいけないということです。
他のISPは単純に帯域制限をするだけなので、この法律には引っかかりません。太い通信路を提供するか、細い通信路を提供するかは、そこでやりとりされる内容には関係がないからです。実際、Winnyを規制しても、次はShareだというように次から次へと新手のソフトが出てくるわけですから、特定のソフトに限定して規制をかけることはあまり意味が無いように思えます。
個人的には、なぜぷららが明示的にWinnyに限定して規制すると発表したかはいまでも疑問です(たぶん、戦術ミスなんだと思います)が、おそらく問題の根幹は、インターネットのバックボーンが明らかに圧迫されつつあるという事実でしょう。古い情報で恐縮ですが、2004年のNetWorld+Interop 2004 Tokyoでは、この話題が大きく取り上げられていました。→ 「お行儀の悪い」P2Pトラフィックへの対処法、ネットワーク全体の50%以上がP2Pによるトラフィック~N+Iワークショップ
P2Pのトラフィックを抑えることは、実はISPにとって重要な課題となりつつあるのです。
最近でも「ネットインフラが悲鳴 『ネットテレビ+デイトレ』のダブルパンチ」という記事にあるように、バックボーンが圧迫される傾向に変化はありません。また、「固定電話サービスで IP 電話が KDDI を押さえて2位に」という記事ではIP電話が伸びているという状況が示されています。電話という仕組みは、遅延が大きくなると利用者の不快感が増しますから、その電話品質を保証する必要も出てきています。
インターネットは非常に便利な仕組みです。そのため、電子化が可能なものならなんでもインターネット上でサービスを実施できると考えがちですが、一歩引いた位置から冷静に状況を見る目を養うことも必要になってきたということかもしれません。
さて、こういう状況を理解したうえで、ISPが進める帯域制限をどう見ればいいのでしょうか。おそらく、その立場で見方は様々でしょう。ただ、この問題はISPだけが頑張っても解決しそうにはないということは共通認識として持ったほうがいいような気がします。
最近では「ネットのただ乗り」問題もありますし、インターネットはひとつの節目を迎えていると感じます。近いうちにこの話もしたいと思いますが、今日はここまでということで。ちょっとまとまりに欠けてごめんなさい。m(__)m