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調達コストはまだまだ大幅に削減できる

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戦略的ソーシング(調達)ASPサービス CombineNetのASAP(Advanced Sourcing Application Platform)は、P&Gの調達ビジネスモデルと、カーネギーメロン大学を中心とする10名の数学者が開発した組合せエンジンが合体(Combine)して生まれたサービスです。

この組合せエンジンは現在16の特許を持ち、32の新たな特許を申請しています。

米国郵政公社、ドイツポスト、P&G、コカコーラ、ペプシコ、ネッスル、ユニリーバ、マクドナルド、クラフト、ベストバイ、フォード、シーメンス、ジョンソン$ジョンソン、バイエル、シアーズなどフォーチュン100の16社、グローバル500の60社が使用しています。

ソーシング対象品目は、輸配送(陸運/空輸/海運)、梱包材(ダンボール箱/缶類/パッケージ)、MRO(設備/工具/燃料/消耗品/電力/パレット)、サービス(派遣スタッフ/設備サービス/清掃・警備) などです。カスタム品など入札の対象にならないものは当然CombineNetの対象外です。

上記品目の調達コスト削減実績は3~55%の幅がありますが、平均的には8%の調達コスト削減が可能です。米国郵政公社のプレスリリースでは5年間で2500億円もの調達コスト削減を実現していると発表されています。

米国のビール会社B社が、物流業者選定にCombineNetを利用した事例を紹介しましょう。
対象品目:ビール原材料の入庫物流とビールの出庫物流
調達コスト:178億円
路線数:1,271路線
応札物流業者:92社

燃料費の高騰等から複数の物流業者が3~5%の値上げを要請してきたことを契機に、B社は、物流業者の見直しにより、年間の輸送コストの低減にチャレンジしました。

CombineNetの対話型電子見積りの機能を用いて、各サプライヤーの強みを発揮できる、代替えや条件付き見積もりや、パッケージオファーなどのサプライヤー側からの提案を受け付けました。

B社では、価格だけでなく、サービス品質を考慮した物流業者選定の為に、取引物流業者のパフォーマンス評価指標として用いていた各社の定期配送の実績をCombineNetの中に取り込みました。

又、バイヤーは、CombineNetの見積り評価シナリオ作成機能を活用して、価格重視シナリオ、品質重視シナリオ、価格と品質のバランスシナリオなど約50の調達シナリオをCombineNetの組合せ(Combine)エンジン機能を使って、評価しました。

「制約条件無し」シナリオでは、見積路線カバー率100%で、選定業者数 72社で、コスト低減額は15%になることが分かりました。
「既存アロケーションを維持」シナリオでは、見積路線カバー率100%で、選定業者数 71社で、コストは0.2%アップすることが分かりました。
「コストと品質のバランス」シナリオでは、見積路線カバー率100%で、選定業者数 54社で、コスト低減額は9%になることが分かりました。

非常にアグレッシブに業者を選定すれば、最大15%のコスト削減が可能なことは判明しましたが、これらの業者の過去の配送実績からすれば、リスクが高すぎると思われました。

結果として「コストと品質のバランス」シナリオを採用することになり、9%の調達コスト削減、額にして16億円のコストを削減しました。

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