どんなアプリケーションでもSaaSに置き換えることができるか?
SaaSに関する文献には、異口同音に「SaaSは素晴らしいが、総てのアプリケーションがSaaSに置き換わるとは思わない」と書かれています。ではどのアプリケーションがSaaS向きで、どのアプリケーションがSaaSに不向きかは書かれていません。
シングルインスタンス・マルチテナントといったSaaSアーキテクチャで最先端をいくセールスフォース.でも、やはり対象アプリケーションの得手不得手があります。SFAやコールセンターのアプリケーションはSaaS向きであることは言うに及びませんが、セールスフォースをPaaSとして利用する際に、果たしてこのアプリケーションにセールスフォースの開発環境・実行環境を利用するのは得策かどうかを迷われることが多いと思います。
SaaS・PaaSに向いたアプリケーションは、インタラクティブなシステムです。ユーザがブラウザで見たり書いたりする対話型アプリケーションです。その証拠にセールスフォースの課金はユーザ数ベースで、データ量や処理量課金ではありません。
対話型アプリケーションならば、どんなアプリケーションでもセールスフォースに勝る開発環境・実行環境はありません。
逆に不向きなアプリケーションは、基幹系などの大量バッチ処理です。会話型ではなく大量のデータ処理を自動化するアプリケーションはシングルインスタンス・マルチテナントには向かないのです。あまり公表されていませんが、セールスフォースでは1日に使えるAPIの数は契約ユーザ数×1000回とガードがかかっています。メール発信も1日に1000通までです。
何百万件のデータ同期や何十万件のメール発信が自由にできると、大量のリソースがその処理に占有されてしまうからです。またデータ量にも制限があり、何百万件の請求データや履歴データを取り扱うことはできません。これらは同じクラウドでもアマゾンEC2などのHaaS向きのアプリケーションです。
セールスフォースのカレンダーとGoogle Appsのカレンダーは自動同期できますが、最短の同期時間は2時間です。カレンダーの2時間のずれは困ったものですが、これも大量のトランザクションの発生を防ぐ工夫でしょう。勿論手動同期は都度可能です。
これらのセールスフォースを最大限利用するノウハウは、導入コンサルティングサービスで提供しています。