オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

【図解】コレ1枚でわかるデジタル化がもたらす「変化への即応力」:レイヤー構造化と抽象化

»

変化が激しく将来の予測が困難な現代において、企業に求められるのは「圧倒的なスピード」です。これは単なる作業の速さではなく、市場や顧客ニーズの変化に対し、即座に経営判断を下し、業務プロセスを柔軟に組み替える能力を指します。このスピードを実現する土台こそが、業務プロセスの「デジタル化」です。

スクリーンショット 2026-01-23 6.30.36.png

1. 「完成品」から「素材」への還元(抽象化)

デジタル化の本質を理解するために、料理を例に考えてみましょう。

市販の「カレー粉」を使えば簡単にカレーが作れますが、味は画一的で、他の料理への応用は利きません。しかし、これを「クミン・ターメリック・コリアンダー」といった個別のスパイス(素材)にまで還元(抽象化)して保有しておけばどうでしょうか。

スパイスの配合を変えるだけで、辛味や香りを自在に調整できるだけでなく、全く別の料理(例えばタンドリーチキンやパエリア)を生み出すことも可能になります。

業務もこれと同じです。従来の固定化された業務フロー(カレー粉)を、個別の機能やデータ(スパイス)という最小単位の要素に分解・抽象化しておくことで、環境変化に合わせて、業務プロセスを自在に組み替えられるようになります。

2. レイヤー構造化による「共通化」と「個別化」の分離

デジタル化されたシステムは、これらの要素を整理し、「レイヤー(階層)構造」として管理します。

  • 基礎レイヤー(OS・データ基盤): 全ての業務に共通する土台です。データ形式や通信規約が標準化され、統合管理されるため、あらゆるシステム間での連携が可能になります。

  • 共通機能レイヤー(ミドルウェア):

    認証やデータ処理など、どの業務でも共通して使う機能群です。「切る・煮る」といった調理プロセスに相当し、無駄な重複を排除します。

  • 応用レイヤー(アプリケーション):

    販売管理や生産管理など、個別の目的に特化した層です。土台が共通化されているため、この層(レシピ)を入れ替えるだけで、スピーディーに新しい業務に対応できます。

3. アナログ(個別最適)からの脱却

アナログな手法や従来のサイロ化したシステムでは、業務が属人化し、各部署の「個人の経験」や「固定された手順」に依存してしまいます。これでは、新しいことを始めようとするたびに、ゼロから仕組みを作り直さなければなりません。

一方、「レイヤー構造化」と「抽象化」がなされたデジタル基盤があれば、最下層にある「顧客データ」を、販売・物流・経理といった異なる上位アプリケーションで即座に共有・活用できます。これにより、組織の壁を超えた柔軟なデータ活用が可能になります。

4. ERPパッケージで手に入れる「即応性」と「ベストプラクティス」

この「レイヤー構造化と抽象化」の思想が、最も具現化されているのがERPパッケージです。

ここで重要視すべきは、ERPの導入目的が単なる「業務システムの開発生産性を高めること(作る手間を省くこと)」ではないという点です。真の目的は、変化に俊敏に対応できる「強固な業務基盤」を、迅速に確立することにあります。

ERPパッケージは、多くの企業の知見や成功事例に基づいた「ベストプラクティス(最良の業務手法)」の集合体です。あらかじめ高度に抽象化・構造化されたこの「型」を利用することで、企業はゼロから仕組みを構築する試行錯誤をスキップできます。つまり、ERPを導入することは、業界の知見や成功モデルが凝縮された「変化に強い業務基盤」を即座に自社へ実装し、ビジネスの即応性を一気に高めることなのです。

【募集開始】ITソリューション塾・第51期

(2026年2月10日開講)

突然ですが、少しご自身の「常識」のアップデート状況を点検してみましょう。 お客様との雑談や会議で、次のような質問をされたとき、あなたは自信を持って答えられますか?

【初級編】基本の「キ」

まずは、現代のビジネスシーンで頻出するキーワードです。

  1. 「デジタル化」と「DX」、何が違うのですか?
  2. 「仮想化」と「コンテナ」、技術的な違いとメリットは何ですか?
  3. 「機械学習」「ニューラルネットワーク」「深層学習(ディープラーニング)」、それぞれの包含関係と違いは?
  4. 今のAIには何ができて、何ができないのですか? 人間の知性との決定的な違いは?
  5. セキュリティでよく聞く「ゼロトラスト」とは何ですか? 従来の境界型防御とはどう違うのですか?

【中級編】トレンドの本質を掴む

続いて、ニュースや現場で飛び交う言葉の「意味」を深く理解しているかどうかの問いです。

  1. 「クラウドネイティブ」とは何ですか? 単に「クラウドを使うこと」とは違いますか?
  2. AIにおける「モデル」とは、具体的に何を指す言葉ですか?
  3. 「Stack Overflowの死」という言葉が示唆する、プログラミングや開発現場の未来とは?
  4. 「アジャイル開発」と「DevOps」、それぞれの目的と両者の関係性は?
  5. 「マイクロサービスアーキテクチャ」を採用する際のメリットと、逆に生じる複雑さ(デメリット)は何ですか?

【上級編】未来と社会を見据える

最後は、技術が社会やビジネス構造に与える影響についての問いです。

  1. 「生成AI(Generative AI)」の台頭が、知的財産権や著作権法のあり方にどのような課題を投げかけていますか?
  2. 「量子コンピュータ」の実用化は、現在の暗号技術やセキュリティにどのようなインパクトを与えますか?
  3. 「Web3」や「DAO(分散型自律組織)」は、既存のプラットフォーマー型ビジネスをどう変える可能性がありますか?
  4. ITインフラの消費電力問題と「サステナビリティ」の観点から、データセンターやクラウド選定に求められる視点とは?
  5. 「デジタル主権(ソブリンクラウド)」という概念が、グローバルなデータ活用において重要視される背景は?

いかがでしたか? すらすらと、自分の言葉で説明できたでしょうか。それとも、曖昧な理解であることに気づき、言葉に詰まってしまったでしょうか。

もし答えに窮するとしたら、ぜひITソリューション塾にご参加ください。ここには、新たなビジネスとキャリアの未来を見つけるヒントがあるはずです。

【ユーザー企業の皆さんへ】

不確実性が常態化する現代、変化へ俊敏に対処するには「内製化」への舵切りが不可欠となりました。IT人材不足の中でも、この俊敏性(アジリティ)の獲得は至上命題です。AIの急速な進化、クラウド適用範囲の拡大、そしてそれらを支えるモダンITへの移行こそが、そのための強力な土台となります。

【ITベンダー/SI事業者の皆さんへ】

ユーザー企業の内製化シフト、AI駆動開発やAIOpsの普及に伴い、「工数提供ビジネス」の未来は描けなくなりました。いま求められているのは、労働力の提供ではなく、モダンITやAIを前提とした「技術力」の提供です。

戦略や施策を練る際、ITトレンドの風向きを見誤っては手の打ちようがありません。

ITソリューション塾では、最新トレンドを体系的・俯瞰的に学ぶ機会を提供します。さらに、アジャイル開発やDevOps、セキュリティの最前線で活躍する第一人者を講師に招き、実践知としてのノウハウも共有いただきます。

あなたは、次の質問に答えられますか?

  • デジタル化とDXの違いを明確に説明できますか? また、DXの実践とは具体的に何を指しますか?
  • 生成AI、AIエージェント、エージェンティックAI、AGIといった「AIの系譜」を説明できますか?
  • プログラミングをAIに任せる時代、ITエンジニアはどのような役割を担い、どんなスキルが必要になるのでしょうか?

対象となる方

  • SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
  • ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
  • デジタルを武器に事業改革や新規開発に取り組む皆さん
  • 異業種からSI事業者/ITベンダー企業へ転職された皆さん
  • デジタル人材/DX人材の育成に携わる皆さん

実施要領

  • 期間:2026年2月10日(火) ~ 4月22日(水) 全10回+特別補講
  • 時間:毎週 水曜日 18:30~20:30(※初回2/10など一部曜日変更あり)
  • 方法:オンライン(Zoom)
  • 費用:90,000円(税込み 99,000円)

受付はこちらから: https://www.netcommerce.co.jp/juku

※「意向はあるが最終決定には時間かがかかる」という方は、まずは参加ご希望の旨と人数をメールにてお知らせください。参加枠を確保いたします。

講義内容(予定)

  • デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
  • ITの前提となるクラウド・ネイティブ
  • ビジネス基盤となったIoT
  • 既存の常識を書き換え、前提を再定義するAI
  • コンピューティングの常識を転換する量子コンピュータ
  • 変化に俊敏に対処するための開発と運用
  • 【特別講師】クラウド/DevOpsの実践
  • 【特別講師】アジャイルの実践とアジャイルワーク
  • 【特別講師】経営のためのセキュリティの基礎と本質
  • 総括・これからのITビジネス戦略
  • 【特別講師】特別補講 (現在人選中)

「システムインテグレーション革命」出版!

AI前提の世の中になろうとしている今、SIビジネスもまたAI前提に舵を切らなくてはなりません。しかし、どこに向かって、どのように舵を切ればいいのでしょうか。

本書は、「システムインテグレーション崩壊」、「システムインテグレーション再生の戦略」に続く第三弾としてとして。AIの大波を乗り越えるシナリオを描いています。是非、手に取ってご覧下さい

71xeB-qDRfL._SY425_.jpg

unnamed-2.jpg

八ヶ岳南麓・山梨県北杜市大泉町、標高1000mの広葉樹の森の中にコワーキングプレイスがオープンしました。WiFiや電源、文房具類など、働くための機材や備品、お茶やコーヒー、お茶菓子などを用意してお待ちしています。

8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。

Comment(0)