デジタル化とDXとが区別されず、デジタル化もまたざっくりとしか理解できてないとすれば・・・
デジタライゼーションとデジタルトランスフォーメーション(DX)が、区別されずに使われている状況があるようです。両者は密接に関係していることは確かですが、同義ではありません。この点については、以前のブログでも触れましたので、よろしければ、そちらをご覧下さい。
それ以前の話しとして、「デジタライゼーション」という言葉ですが、これは、日本語の「デジタル化」と同義ではありません。この点について、ここで明確にしておきましょう。
日本語では「デジタル化」は、ひとつの単語ですが、英語では、2つの単語で、使い分けられています。
ひとつは、「デジタイゼーション(digitization)」です。デジタル技術を利用してビジネス・プロセスを改善し、効率化やコストの削減、あるいは付加価値の向上を目指す場合に使われます。もうひとつは、「デジタライゼーション(digitalization)」です。デジタル技術を利用してビジネス・モデルを変革し、新たな利益や価値を生みだすことを目指す場合に使われます。
これら2つのデジタル化は、どちらが優れているかとか、どちらが先進的かなどで、比較すべきではありません。どちらも、必要な「デジタル化」です。ただ、両者の違いを区別することなく、あるいは、曖昧なままに、その取り組みを進めるべきではありません。
前者は、「既存の改善」であり、企業活動の効率を高め、持続的な成長を支えるためのデジタル化です。一方後者は、「既存の破壊」であり、新たな顧客価値を創出し、圧倒的な差別化や競争優位を生みだすためのデジタル化です。
前者であれば、現状を基準に、「コストを30パーセント削減する」や「10日間の納期を5日間へ短縮する」といった目標値を設定し、そのための手段を考えます。一方後者は、「やってみなければ分からない」ので、試行錯誤を繰り返し、正解を探さなくてはなりません。
前者は、既存を前提に目標を設定して、取り組むことができますが、後者は、既存を逸脱し、新しいやり方を発見しなくてはなりません。
例えば、前者であれば、売上や利益などの目標を明確に定め、そこに至る課題を洗い出し、解決策を明確にして、計画を立て、その成果を数字で管理しなくてはなりません。後者であれば、自社に留まらない人のつながりを生むために「出島」を作り、好奇心と遊び心で、失敗を許容でき、試行錯誤を繰り返すことができる組織でなくてはなりません。定める目標も、顧客の支持や新たな市場の開拓などとなります。
両者に優劣はありません。企業の存続や成長には共に不可欠です。ならば、両者の違いを正しく理解し、チームを分けて、取り組むことが大切です。
ビジネスの現場では、様々な言葉が使われます。しかし、それが何を意味するかを正しく理解することなく、曖昧なままに、自信たっぷりに語られていることがあります。これは、時にして、まわりの信頼を損ねることになります。
「DX」や「デジタル化」は、「曖昧なままに自信たっぷりに語られる」言葉の代表格かも知れません。ITに関わる仕事をしているのなら、このようなことは、「恥ずかしいこと」と自覚すべきです。
プロであることの1つの条件は、素人以上に、自分の専門分野の言葉について、高い解像度で理解していることです。もちろん、言葉は生き物であり、言葉の栄枯盛衰も激しい世の中ですから、全てを完璧にとはならないでしょう。それでも、なんとか「素人以上」を維持しようとするところに、プロたる所以があるのだと思います。
この矜持を維持できないとすれば、その役割を下りるべきではないかと思います。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日 開講)
次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日[水]開講)の募集を始めました。
次のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。
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ITソリューション塾について:
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「クラウド」については、そのサービスの範囲の拡大と機能の充実、APIの実装が進んでいます。要件に合わせプログラム・コードを書くことから、クラウド・サービスを目利きして、これらをうまく組み合わせてサービスを実現することへと需要の重心は移りつつあります。
このように「生成AI」や「クラウド」の普及と充実は、ユーザーの外注依存を減らし、内製化の範囲を拡大するでしょう。つまり、「生成AI」や「クラウド」が工数需要を呑み込むという構図が、確実に、そして急速に進むことになります。
ITベンダー/SI事業者の皆さんにとっては、これまでのビジネスの前提が失われてしまい、既存の延長線上で事業を継続することを難しくします。また、ユーザー企業の皆さんにとっては、ITを武器にして事業変革を加速させるチャンスが到来したとも言えます。
ITに関わる仕事をしている人たちは、この変化の背景にあるテクノロジーを正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様への提案に、活かす方法を見つけなくてはなりません。
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生成AIを使えば、業務の効率爆上がり?
このソフトウェアを導入すれば、DXができる?
・・・そんな都合のいい「魔法の杖」はありません。
これからは、「ITリテラシーが必要だ!」と言われても、どうやって身につければいいのでしょうか。
「DXに取り組め!」と言われても、これまでだってデジタル化やIT化に取り組んできたのに、何が違うのかわからなければ、取り組みようがありません。
「生成AIで業務の効率化を進めよう!」と言われても、"生成AI"で何ですか、なにができるのかもよく分かりません。
こんな自分の憂いを何とかしなければと、焦っている方も多いはずです。