DX化という言葉の氾濫と真のDXへの警鐘:デジタル変革の本質を見失わないために
昨今、「DX化」という言葉がビジネスシーンで頻繁に使用されていますが、その実態は「デジタル化」と混同されているケースが非常に多いと感じています。
昨日もこの問題について言及しましたが、そもそも「DX=デジタル変革」を意味する言葉である以上、「デジタル変革"化"」という表現は不自然です。仮に「DX=デジタル化」と解釈したとしても、「DX化=デジタル化"化"」となり、やはり日本語として違和感が残ります。
私たちは、言葉を自分にとって都合の良いように解釈したり、自身の限られた知識の範囲内で理解しようとしたりしがちです。その結果、本来の意味からかけ離れた使い方をしてしまうことは往々にしてあります。例えば、「DX化」という言葉だけでなく、「人事DX」「経理DX」「生産DX」といった「なんちゃらDX」という言葉も、本来のDXが持つ意味合いから逸脱した使い方です。
既存の業務プロセスや組織構造をそのままに、単にアナログな業務を「なんちゃらDX」と称するデジタルツールに置き換えるだけでは、それはDXと呼ぶことはできません。DXの本来の定義に従えば、「商材やビジネスモデル、業務の仕組みそのものを変革する」「企業の文化や風土を刷新する」という、ビジネスの根幹に関わる変革が不可欠です。
もちろん、これらデジタルツールを活用した業務効率化や生産性向上は、企業にとって非常に価値のあることです。しかし、それはあくまでも「デジタル化」の範疇であり、あるいは手作業を自動化する「コンピュータ化」や「IT化」の延長線上にあります。これらの取り組みをDXと呼ぶ必要はありません。にもかかわらず、DXという言葉に固執するのは、見栄えをよくするための虚飾でしかありません。
このような言葉の使い方は、DXを「デジタル技術を使うこと」という手段に矮小化し、本来の目的を見失わせてしまいます。これでは、顧客企業のDX推進を誤った方向に導き、真の変革をもたらすことができなくなってしまいます。ITベンダーやSI事業者は、プロフェッショナルとしての誇りを持ち、デジタル化とDXをそれぞれ明確に区別し、適切に使い分けるべきです。
DXとは、単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を駆使してビジネスモデルや企業文化そのものを変革し、新たな価値を創造するプロセスです。真のDXを実現するためには、表面的なデジタル化に留まらず、企業全体の変革を目指さなければなりません。
言葉の正しい理解と適切な使用を通じて、DXの真価を追求し、顧客企業のビジネス成長に貢献していくことが、ITに関わる人間の使命と言えるでしょう。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日 開講)
次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日[水]開講)の募集を始めました。
次のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。
- SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
- IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
- デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
ITソリューション塾について:
いま、「生成AI」と「クラウド」が、ITとの係わり方を大きく変えつつあります。
「生成AI」について言えば、プログラム・コードの生成や仕様の作成、ドキュメンテーションといった領域で著しい生産性の向上が実現しています。昨今は、Devinなどのような「システム開発を専門とするAIエージェント」が、人間のエンジニアに代わって仕事をするようになりました。もはや「プログラマー支援ツール」の域を超えています。
「クラウド」については、そのサービスの範囲の拡大と機能の充実、APIの実装が進んでいます。要件に合わせプログラム・コードを書くことから、クラウド・サービスを目利きして、これらをうまく組み合わせてサービスを実現することへと需要の重心は移りつつあります。
このように「生成AI」や「クラウド」の普及と充実は、ユーザーの外注依存を減らし、内製化の範囲を拡大するでしょう。つまり、「生成AI」や「クラウド」が工数需要を呑み込むという構図が、確実に、そして急速に進むことになります。
ITベンダー/SI事業者の皆さんにとっては、これまでのビジネスの前提が失われてしまい、既存の延長線上で事業を継続することを難しくします。また、ユーザー企業の皆さんにとっては、ITを武器にして事業変革を加速させるチャンスが到来したとも言えます。
ITに関わる仕事をしている人たちは、この変化の背景にあるテクノロジーを正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様への提案に、活かす方法を見つけなくてはなりません。
ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えするとともに、ビジネスとの関係やこれからの戦略を解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。
詳しくはこちらをご覧下さい。
※神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO(やまと)会員の皆さんは、参加費が無料となります。申し込みに際しましては、その旨、通信欄にご記入ください。
- 期間:2024年10月9日(水)〜最終回12月18日(水) 全10回+特別補講
- 時間:毎週(水曜日*原則*) 18:30〜20:30 の2時間
- 方法:オンライン(Zoom)
- 費用:90,000円(税込み 99,000円)
- 内容:
- デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
- IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
- これからのビジネス基盤となるIoTと5G
- 人間との新たな役割分担を模索するAI
- おさえておきたい注目のテクノロジー
- 変化に俊敏に対処するための開発と運用
- アジャイルの実践とアジャイルワーク
- クラウド/DevOps戦略の実践
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神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO
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6月22日・販売開始!【図解】これ1枚でわかる最新ITトレンド・改訂第5版
生成AIを使えば、業務の効率爆上がり?
このソフトウェアを導入すれば、DXができる?
・・・そんな都合のいい「魔法の杖」はありません。
これからは、「ITリテラシーが必要だ!」と言われても、どうやって身につければいいのでしょうか。
「DXに取り組め!」と言われても、これまでだってデジタル化やIT化に取り組んできたのに、何が違うのかわからなければ、取り組みようがありません。
「生成AIで業務の効率化を進めよう!」と言われても、"生成AI"で何ですか、なにができるのかもよく分かりません。
こんな自分の憂いを何とかしなければと、焦っている方も多いはずです。