営業力の根源は知識力にある
「営業力を磨きたい!」
営業であれば、そんな想いを持つのは当然のことです。しかし、営業力とは何かを勘違いしている人も多いようです。
営業力の本質は「知識力」
自社の製品やサービスについての知識、業界や顧客についての知識、テクノロジーやビジネスについての知識など、幅広い知識、すなわち常識や教養が営業力の本質です。営業力を鍛えたければそんな知識力を磨き、つねに最新状態にアップデートしておくことです。
提案書を作るにも、お客様との対話や交渉も知識がなければ、中身のないものになってしまいます。プレゼンテーション・スキルや交渉術を磨いたとしても中身のないものを輝かせることはできません。
では、知識はどのようにすれば身につけることができるのだろうか。それは、営業という仕事にプライドを持つことでしょう。
- お客様の成功のためなら何でもするという覚悟。
- 与えられた数値目標を絶対に達成するという信念。
- 自分やっていること、あるいは扱っている製品やサービスが大好きだという想い。
このような気持ちや意識を持つことがプライドということになるのでしょう。言葉を換えれば、「これでお金をもらっている」という自覚でもあります。
プライドがあれば、そのプライドが、知識を身につける原動力となります。学ぶ方法は人それぞれです。「こんな学び方がある」、「成功者がやっている学習法」など、ライフ・バック的な情報が巷にあふれていますが、学ぶことへの強い動機付けがなければ、このようなものは何の役にも立ちません。
プライドがなければ、関心や好奇心が生まれません。新しい言葉が現れても「これは仕事には関係なさそうだ」と省エネ機能を発動させて切り捨ててしまいます。プライドがあればこそ、知識力は磨かれます。
役に立つ知識かどうかは、それを知らなければ、結局は分かりません。表面的な解説や、通り一遍の解釈で切り捨てしまうと、情報を引っかけるインデックスが少なくなり、ますます情報が入らなります。その繰り返しが常識を狭め、ますます知識が身につかないといった、縮小均衡の悪循環を生みだしてしまいます。
ところで世の「営業研修」では、営業プロセススや交渉力、提案書の書き方やプレゼンテーションといったお決まりのアイテムが並びます。確かに、知識をうまく使うためにはこのようなスキルも必要ですが、その前提となる知識がなければ、使いようがありません。だから、知識を身につけなければ、営業力は磨かれることはないのです。
「営業だから技術的なことを知っている必要はない」と決めつけてはいないでしょうか。お客様を正しい方向に導き、お客様の成功を願うのであれば、昨日も述べたとおり、営業はお客様の良き教師や医師であるべきです。実装はエンジニアに任せても、営業にはその筋道を示す役割があります。そのために必要なのは幅広い常識や教養であり、それを駆使してお客様の良き相談相手となることです。
最近「共創」という言葉をよく目にしますが、これをビジネス・チャンスにするためには、知識力を営業の武器にしなければなりません。つまり、業務の知識を持つお客様とITの知識を持つ営業が、お客様と徹底して対話し、新しいビジネスの可能性を探り、ビジネス・チャンスを生みだすことです。
それはコンサルの仕事だ、あるいはエンジニアの仕事だと割り切ることはできません。これからますます彼らと営業の境目が曖昧になり、営業にもそのような役割を求められるようになります。ある外資系企業では、「セールス」という言葉を改め「ビジネス・コンサルタント」という名称にし、意識の転化を促しているところもある野は、そんな背景があるからでしょう。
また、エンジニアの価値や効率を高めるのも営業の知識力に因るところは少なくありません。例えば、ある大手SI事業者で、エンジニアの稼働率が高すぎて提案活動に支障をきたしていることが問題になっていました。調べてみると、営業がお客様の話を理解できず、お客様からの話があれば直ぐにエンジニアを連れてゆくので、エンジニアの稼働率が上がっていることが分かったのです。また、行ってみるとそのエンジニアの専門外であったり、そもそも技術的な議論以前の話しであったりすることも多く、エンジニアの稼働率は上げても生産性を落としていることも分かりました。知識がないのでお客様とまともに話ができない、ビジネス・チャンスをものにできない典型のような話しです。
製品情報や技術情報の提供、見積や契約などの営業事務はネットが代替してくれるようになります。そこに営業の役割はありません。営業は、お客様の成功のために持てる知識を駆使して、お客様の未来をデザインし、お客様ととことん語り合い、答えを一緒に作り上げてゆくことが役割となってゆくのでしょう。そういう役割を担うという自覚こそが、営業のプライドです。
「どうすれば、プライドを持てるようになるでしょうか。」
簡単なことです。儲けようと思わないことです。自分たちの商材を一旦棚上げし、お客様の課題を解決するには、お客様のやりたいことを実現するには、どうすることが最善の策なのかを、徹底して考え抜くことです。これこそが、営業のプライドの根源です。
当然、自社の製品知識だけでは、その答えは得られません。広く世の中の常識から答えを導くしかありません。知識力は、そういう思考回路を育ててこそ、磨かれていくものです。
お客様は、あなたの会社の製品やサービスを使いたいのではありません。自分の課題を解決したいのです。そんなお客様の気持ちに真正面から向きあい答えを出すことこが、お客様からの信頼を勝ち取る唯一の方法です。その結果として、自社の商材が売れなかったとしてもたいしたことではありません。
そういう信頼が築かれていれば、また次の機会に相談してもらえます。そうなれば、案件は向こうからやって来ます。そんなお客様との関係が増えれば、数字に困ることなどありません。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第44期
次期・ITソリューション塾・第44期(2023年10月4日[水]開講)の募集を始めました。
ChatGPTをはじめとした生成AIの登場により、1年も経たずにで、IT界隈の常識が一気に塗り替えられました。インターネットやスマートフォンの登場により、私たちの日常が大きく変わってしまったことに匹敵する、大きな変化の波が押し寄せています。ブロックチェーンやWeb3、メタバースといったテクノロジーと相まって、いま社会は大きな転換点を迎えています。
ITに関わる仕事をしているならば、このような変化の本質を正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様の事業活動に、どのように使っていけばいいのかを語れなくてはなりません。
ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、その背景や本質、ビジネスとの関係をわかりやすく解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。
- SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
- IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
- デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
以上のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。
詳しくはこちらをご覧下さい。
- 期間:2023年10月4日(水)〜最終回12月13日(水) 全10回+特別補講
- 時間:毎週(水曜日)18:30-20:30 の2時間
- 方法:オンライン(Zoom)
- 費用:90,000円(税込み99,000円)
- 内容:
- デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
- IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
- これからのビジネス基盤となるIoTと5G
- 人間との新たな役割分担を模索するAI
- おさえておきたい注目のテクノロジー
- 変化に俊敏に対処するための開発と運用
- アジャイルの実践とアジャイルワーク
- クラウド/DevOps戦略の実践
- 経営のためのセキュリティの基礎と本質
- 総括・これからのITビジネス戦略
- 特別補講 *講師選任中*
詳しくはこちらをご覧下さい。
日々の暮らしは?買物、病院、学校は?気になることを八ヶ岳暮らしの人に聞いてみよう!
- 日時:2023年10月7日(土) 10:00〜12:00(Q&Aを含む)
- 会場:8MATO&オンライン
- 内容:「失敗しない八ヶ岳移住。まずはここから始めよう」
- なんて素敵な八ヶ岳暮らし!でも注意すべき点も
- 後悔する失敗移住の「あるある」
- 後悔しない八ヶ岳暮らしのために
- 八ヶ岳移住者対談「ここがツラいよ!八ヶ岳暮らし」
- モデレーター:合同会社TMR代表 玉利裕重(たまさん)
- 対談登壇者:八ヶ岳移住者(調整中)
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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1
目次
- 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
- 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
- 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
- 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
- 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
- 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
- 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
- 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
- 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
- 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO
8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。