自分の未来に責任を持てない企業に、お客様は仕事を任せたくはない
マイクロサービス、コンテナ、サーバーレス
この3つの言葉が、これまでのSIビジネスの存続を難しくしてしまうかもしれません。その意味が分からないとすれば、SIビジネスの置かれている危機的状況を理解できているとは言えません。
「デジタル・トランスフォーメーション」という言葉を最近よく聞くようになりました。この言葉の本質を理解すれば、それがSIビジネスにとって破壊的な影響をもたらすことだと理解できるはずです。
冒頭の3つの言葉は、インフラの構築や運用、アプリケーション開発を根本的に変えてしまう可能性があります。アプリケーション開発者は、インフラやその運用を気にせずにアプリケーションを開発できるようになり、業務ニーズの変更に即応できるようになるでしょう。
ビジネス環境の不確実性がかつてなく高まっているいま、環境変化への即応力は経営の生命線です。同時に、ビジネスとITの一体化さらにはITを前提とした新たなビジネス・モデルが、企業の競争力の源泉になりつつあります。そうなると、ビジネス環境の変化に即応するためには、ITもまた即応できる俊敏さを持たなくてはなりません。それを支える手段のひとつが、この3つの言葉を組み合わせることで実現できます。
アジャイル開発やDevOpsも同じ文脈の中で捉える必要があるでしょう。つまり、両者は共に、ビジネス環境の変化に即応し、ビジネスの成果に直接貢献するための取り組みです。
後者の「デジタル・トランスフォーメーション」の「トランスフォーム=置き換えること、変換すること」の意味するところは、「人間が仕事をすることを前提にするビジネス・プロセス」から「機械やソフトウェアが仕事をすることを前提にするビジネス・プロセス」へ「トランスフォーム」することです。
これまでは、人間が仕事をすることを前提に、業務プロセスは設計されていました。しかし、徹底して無駄や人的ミスを排除できる業務プロセスを作っても、人間が仕事をする以上、人間の持つ非合理性や労務的な制約を完全に排除することはできません。しかし、人間ではなく、一切の仕事を機械やソフトウェアだけで実現できるのであれば、このような制約から解放され、劇的な生産性や品質の向上を実現できます。同じシステム投資でも得られる効果が桁違いになるのです。
かつて、そのようなことは非現実的なことでしたが、人工知能やロボット、IoTやクラウドの進化と普及と共に、その可能性が高まりました。「デジタル・トランスフォーメーション」とは、そんな人間前提から機械やソフトウェア前提へと業務プロセスを転換することを意味する言葉です。
この変化の最前線に立たされているのがSIビジネスです。例えば、インフラ機器の販売や構築、運用は、クラウドや自動化に置き換えられつつあります。また、アプリケーションの開発は、先の3つの言葉やアジャイル開発/DevOpsに代表されるように、スケーラビリティや俊敏さに重心が置かれ、手間のかかる構築や運用はクラウド・サービスに任せてしまうという流れが定着しつつあります。
「いつまで、いままでのやり方が通用するのでしょうか?」
お客様がITに求める価値はこれまでにも増して高まっています。それにもかかわらず、利益が伸びない、あるいは利益率が減少しているとすれば、これはもはや危機的状況と言えます。稼働率が上がっているのに利益率が下がっているとすれば、そのビジネスに付加価値が無いことを意味し、早晩、自動化やクラウドに置き換わってもおかしくありません。
かつて、どんな田舎町にもレコード屋さんがありました。しかし、いつの間にか街中からなくなってしまいました。音楽の需要は今も昔も旺盛です。しかし、レコードの需要はなくなってしまったのです。ITの需要は無くならなくても、工数の需要はなくなってしまいます。そのことと重ねて考えてみると、いまがどんな時代なのかが見えてくるかもしれません。
過去の常識や成功モデルがいつまでも通用することがないことは、歴史を見れば明らかです。ITに関わるビジネスは、その変化が極めて速く、またITの進化がこの変化を加速しています。そんな変化に追従し続けることは容易なことではありません。ただ、この変化が何処に向かってすすんでいるのかを知り、3年後あるいは5年後の常識に向けて手を打っているかどうかは、自らの未来にとって決定的な意味を持ちます。
ITを提案し構築する仕事は、お客様の3年後あるいは5年後に責任を持つ仕事です。その当事者が、自分の未来に責任を持てないとすれば、お客様からも信頼を失うでしょう。そうなれば、ますます自らを厳しい状況に追い込んでしまうだけです。
冒頭に示した「3つの言葉」や「デジタル・トランスフォーメーション」だけではありません。いまSIビジネスの置かれている状況は、明らかに非常識です。しかし、この非常識が常識と受けとめられるようになるには、さほど時間はかかりません。ならば、いち早くいまの非常識を自分たちの常識に変え、変化を先取りすることが、生き残りと発展の前提となるはずです。
お客様と一緒に参加しませんか?
内容:全3回の講義と演習/受講者と講師のコミュニケーション
- 2月26日(月)第1回 最新のITトレンドとこれからのビジネス戦略
- 4月27日(金)第2回 デジタル戦略を実践するための手法とノウハウ
- 5月29日(火)第3回 未来創造デザインによる新規事業の創出
2月14日(水)よりスタートする次期「ITソリューション塾・第27期」の受付を開始致しました。
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日程 2018年2月14日(水)~4月25日(水) 18:30~20:30
回数 全11回
定員 80名
会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
料金 ¥90,000- (税込み¥97,200) 全期間の参加費と資料・教材を含む
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【お願い】早期に定員を超えると思われますので、まだ最終のご決定や参加者が確定していない場合でも、ご意向があれば、まずはメールにてご一報ください。優先的に参加枠を確保させて頂きます。
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第27期は、これまでの内容を一部変更し、AIやIoTなどのITの最新トレンドについての解説と共に、そんなテクノロジーを武器にして、どうやって稼げばいいのかについて、これまで以上に踏み込んで考えてゆこうと思います。また、働き方改革やこれからのビジネス戦略についても、皆さんに考えて頂こうと思っています。
SI事業者の皆さんには、これからのビジネス戦略やお客様への魅力的な提案を考える材料を提供します。
情報システム部門の皆さんには、自分たちのこれからの役割やどのようなスキルを磨いてゆく必要があるのかを考えるきっかけをご提供します。
講義で使用する500ページを超える最新のプレゼンテーションは、オリジナルのままロイヤリティ・フリーで提供させて頂きます。お客様への提案、社内の企画資料、イベントでの解説資料、勉強会や研修の教材として、どうぞ自由に活用してください。
古い常識をそのままにお客様の良き相談相手にはなれません。
「知っているつもりの知識」から「実践で使える知識」に変えてゆく。そんなお手伝いをしたいと思っています。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
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・デジタル・トランスフォーメーションについて大幅に解説を増やしました。
・【講演資料】SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション を新規に掲載しました。
・量子コンピュータについて、チャートの他に解説文を作りました。
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追加・更新の詳細は以下の通りです。
プラットフォーム&インフラ編
【改訂】サーバー仮想化とコンテナ p.94
【新規】ビジネスとしてのランサムウェア p.113
ビジネス戦略編
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの意味 p.4
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとは何か p.5
【新規】「限界費用ゼロ社会」の実現を支えるデジタル・トランスフォーメーションp.6
【新規】デジタル・トランスフォーメーションの全体像 p.7
【新規】デジタルトランスフォーメーションとCPS p.8
【新規】デジタル・トランスフォーメーションを支えるテクノロジー p.9
【新規】デジタル・トランスフォーメーション実現のための取り組み p.10
【新規】デジタル・トランスフォーメーションをとは p.11
【新規】デザイン思考・リーン・アジャイル・DevOpsの関係 p.16
【新規】SIビジネスとして注力すべきテクノロジー(解説付き) p.17
【新規】デジタルトランスフォーメーション時代に求められる能力 p.20
サービス&アプリケーション・先端技術編/IoT
【新規】機能階層のシフト p.46
サービス&アプリケーション・先端技術編/人工知能とロボット
【新規】手順が決まった仕事は機械に置き換わる p.18
【新規】深層学習の学習と推論 p.52
【新規】「AIカント君」の可能性について p.92
開発と運用編
【新規】DockerとKubernetesの関係 p.45
【新規】システム開発のこれから p.62
テクノロジー・トピックス編
【新規】スマート・コントラクト p.53
【新規】量子コンピュータについての解説文 p.67-68
ITの歴史と最新トレンド編
*変更はありません
クラウド・コンピューティング編
*変更はありません
サービス&アプリケーション・基本編
*変更はありません
【講演資料】SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション を新規に掲載しました。