オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

【図解】コレ1枚でわかる産業発展の歴史と人工知能の位置付け

»

産業発達の歴史から人工知能の位置づけを考えてみました。

スクリーンショット 2016-05-05 7.20.57.png

家内制手工業

18世紀半ばに始まる産業革命以前は、人手による「家内制手工業」の時代でした。もの作りは職人が担い、ひとりが最初から最後まで一貫してこなすやり方が一般的でした。親方が束ねる工房での分業も行われましたが、基本的な需要を充足することが目的であり、また通信網や流通システムがいまほど発達していない時代ですから、需要の変動は一定の範囲で、効率の向上は必ずしも重要なものではなかったのです。

大量生産(産業革命)

1779年にイギリスの発明家サミュエル・クロンプトンが新しい紡績機を発明しました。ミュール紡績機といわれるこの機械は、天然繊維を撚って連続的に糸にする装置です。その後、1830年にリチャード・ロバーツがこれに蒸気機関を組合せ、さらに作業を自動化することに成功しました。

この発明により、当初は手動でひとりの労働者が同時にできる作業が264~288錘の巻き取りに留まっていたものを、成年ひとりと2~3人の少年の補助で、同時に1600錘を巻き取ることができるまでに生産性を飛躍的に向上させたのです。これは手動ミュール紡績機が運転調整に熟練を要したのに対し、自動ミュール紡績機は糸継ぎと装置トラブルの監視だけをすればよくなったためです。

自動ミュール紡績機は広く普及し、紡績の仕事には特定の仕事をこなす単純労働者が増えてゆくことになり、労働のあり方を大きく変えてしましました。

紡績産業以外にも、蒸気機関と自動化への取り組みはすすみ、労働の分業と専門化はさらに広がってゆきます。また通信網や流通システムの発達と相まって、大量生産の需要が高まり、効率化の追求がもの作りの目的として重視されるようになっていったのです。

科学的管理法

20世紀初頭、米国の技術者であり経済学者であるフレデリック・ウインスロー・テイラーが「科学的管理手法」を提言、もの作りの現場で適用されるようになります。「科学的管理手法」とは、仕事を作業要素、すなわち「プロセス」に分解し、作業動作の無駄や改善点を見つけ出そうという取り組みです。そして、効率の良いプロセスを標準化し、それをマニュアルにして作業現場に徹底させるという取り組みです。これにより、経験の浅い作業員でも一定の効率と品質を維持できるというものでした。

これを徹底させる手段としてコンピュータが使われるようになりました。つまり、標準化されたプロセスをコンピューター・プログラムに置き換えることで、誰もが間違えることなく、効率よく仕事を進められるようにしたわけです。経理や人事、受注、調達、生産、販売など、様々な業務プロセスがプログラムに置き換えられてきました。一旦、プログラムに置き換えられると、融通を利かせることはできません。それを逆に利用して、標準化された業務プロセスを業務の現場に徹底させ、コストの削減や品質の安定、作業時間の短縮を実現しようというわけです。ERPはそんな仕組みの集大成と言えるでしょう。

これにより効率向上は加速されました。ドラッカーによれば、テイラー以降、肉体労働の生産性は平均して年率3.5%の割合で伸び、20世紀の終わりには50倍に向上したとしています(「明日を支配するもの」ドラッカーより)。

人間能力の拡張

肉体的労働における効率向上は、ほぼ限界に達しました。そんな中で、効率向上に取り残されてきたのが「知的労働者(ナレッジワーカー)」です。

マニュアル通りにはいかない営業職や弁護士、医師や看護師などは、常に変化する状況を読み解きながら、その時々の最適解を求められる仕事です。そのためには、経験を重ね、広く知識を蓄積し、継続的に学習しなければなりません。その努力によって、個々の事象に対する個別最適解を見つけ出すことができるのです。作業をプロセスに分解し改善するにも容易なことではありません。

ここに登場するのが人工知能です。20世紀後半から急速に進んだコンピュータ利用の結果、世の中のあらゆる出来事がデータ化されるようになりました。そのデータを使って人工知能は学習(機械学習)し、様々な出来事の相互関係や構造、規則性を見つけ出してくれます。この能力を使って人間の知的能力を拡張することができます。これによって、知的労働者の生産性を高め、最適化を一層推し進めようというわけです。

IoTやクラウドの普及により、世の中の様々な出来事が、これまでにも増して緻密に、そしてリアルタイムにデータ化されつつあります。人工知能は、このビッグデータを支えにその能力を高め、役割を拡げてゆこうとしています

【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2016年5月版】

LIBRA_logo

*** 全て無償にて閲覧頂けます ***

【大幅改訂】新入社員研修のための「ITの教科書」

最新版【2016年5月】をリリースいたしました。

今月の目玉は「新入社員のための研修教材の追加」と「IoTや人工知能についての資料を大幅に追加」したことです。ご活用下さい。

【新入社員研修教材「最新のITトレンド」・2016年版】

最新のITトレンドについての新入社員向け研修教材として作成致しました。内容は、月次に更新している「最新のITトレンドとビジネス戦略」からの抜粋です。

加えて、以下のドキュメントもダウンロード頂けるようにしました。

  • 事前課題(Word形式)
  • 理解度テスト(Excel形式)
  • 最新ITトレンドの教え方(PPTX形式/解説をノートに記載)

本教材の各ページには、できる限り解説を併記しています。ただ、未記入のものもありますが、今後の更新にて順次追加致します。

【最新のITトレンドを理解するための基礎知識】

主に新入社員を対象に、最新のITトレンドを理解するために知っておくべき基礎知識を改定しました。プレゼンテーションに加え、解説文(教科書)も合わせて掲載いたしましたので、自習にも役立ちます。

【インフラ&プラットフォーム編】(266ページ)

  • サービス編と重複する内容を削除すると共に、全体の順序を変更しました。
  • 「クラウドによる新しい組合せ」を追加すると共に、解説文を掲載しました。p.27
  • 「ASPとPaaSの違い」を追加しました。p.58
  • 「マルチテナント効果」を追加しました。p.59
  • 「Oracle 12cのマルチテナント・アーキテクチャ」を追加致しました。p.60
  • 「Amazon API Gateway」を追加致しました。p.63
  • 「ITで変わる働き方」を追加しました。p.178

【サービス&アプリケーション編】(224ページ)

IoT

  • 「モノのサービス化」を新規追加し、解説を加えました。p.27
  • 「製造業のサービス化」を新規追加しました。p.31
  • 「IoTで変わるビジネス価値」を新規追加し、解説を加えました。p.32
  • 「ビジネス価値の進化」を新規追加しました。p.33
  • 「機器のイノベーションとビジネス戦略」を新規追加しました。p.41
  • 「CRMとトータル・エンジニアリング・サービス」を新規追加しました。p.55

スマートマシン

  • 「人工知能と機械学習」を改訂し、解説を追加しました。p.144
  • 「人工知能の4レベル」を改訂し、解説を追加しました。p.145

【ビジネス戦略編】(92ページ)

  • 「戦略・作戦・戦術とIT」を改訂しました。 p.12
  • 「商品としてのITの作り方」を追加しました。p.13

閲覧は無料です。ダウンロード頂く場合は会員登録(500円/月)が必要となります。
http://libra.netcommerce.co.jp/

まずは、どのような内容かご覧頂ければ幸いです。

「ポストSIビジネスのシナリオをどう描けば良いのか」

これまでと同じやり方では、収益を維持・拡大することは難しくなるでしょう。しかし、工夫次第では、SIを魅力的なビジネスに再生させることができます。

その戦略とシナリオを一冊の本にまとめました。

「システムインテグレーション再生の戦略」

si_saisei_w400

  • 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
  • 身の丈に合った事例を紹介し、具体的なビジネスのイメージを描きやすくすること。
  • 新規事業を立ち上げるための課題や成功させるための実践的なノウハウを解説すること。

また、本書に掲載している全60枚の図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。経営会議や企画書の資料として、ご使用下さい。

こんな方に読んでいただきたい内容です。

SIビジネスに関わる方々で、

  • 経営者や管理者、事業責任者
  • 新規事業開発の責任者や担当者
  • お客様に新たな提案を仕掛けようとしている営業
  • 人材育成の責任者や担当者
  • 新しいビジネスのマーケティングやプロモーション関係者
  • プロジェクトのリーダーやマネージャー
Comment(0)