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バイラル動画比較:日産リーフ VS トヨタのカローラ+初音ミク

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5月26日に公開されたばかりの、日産リーフの動画広告「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」がバイラルしそうな兆しを見せている。Viral Video Chartの24Hランキング部門でも常時2位か3位に顔を出しており、この勢いが続けば今週の週間ランキングにも入ってきそうな気配だ。最近、日本のブランドがなかなかランキング入りして来ないので、今回の「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」には個人的にも相当期待している。

ところで、日本の自動車ブランドの動画広告と言えば、5月の始めに公開された、初音ミクを起用したトヨタカローラの動画広告「Dream Harmonic - Corolla + Miku: Big Dream」を覚えているだろうか。5月4日の公開当初はかなり話題になり、ブログを始めとしたソーシャルメディアでも頻繁に取り上げられていたので、覚えている方も多いのではないかと思う。

その初音ミクを起用した動画広告がいま現在どうなっているかと言うと、正直完全にバイラルに成功したとは言いにくい結果となっている。今回は、両方の動画広告を比較して、その違いについて考えてみたいと思う。まずは、両方の動画広告を視聴してみてほしい。


■ 「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」

■ 「Dream Harmonic - Corolla + Miku: Big Dream」


以下の図は、現時点(2011年5月31日8:00)における視聴回数とソーシャルメディアへのシェア回数の数字を集計したものだ。両方の公開日に開きがあるので、比較対象として、このブログでも度々紹介している公開日が「Dream Harmonic - Corolla + Miku: Big Dream」と同じ「Google Chrome: It Gets Better」を加えてみた。

図にしてみるとよくわかる通り、「Dream Harmonic - Corolla + Miku: Big Dream」は、ソーシャルメディアにシェアされている回数が圧倒的に低い。今の勢いであれば、「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」に追い抜かれてしまうのも時間の問題だ。バイラルに成功したかどうかを判断する指標値として、シェア回数は重要なポイントになっているため、この数値の低さはやはり気になる。

Vsvs


 

この二つの動画広告を視聴してみると、同じ自動車ブランドの動画広告でありながら、まったく異なるアプローチがされていることがわかる。「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」の方は、車が走っているシーンが全く出てこない。普段の生活の中で、排気ガスがどれだけ有害かということを、淡々と描いている。そこには、これからの未来はガソリンじゃなくて電気なんだというメッセージが込められている。風刺が効いているし、ユーモアもある。なんとなく気になってもう一回視聴したくなる、そんな内容の広告動画になっている。

一方の「Dream Harmonic - Corolla + Miku: Big Dream」の方は、いきなり車が疾走するシーンから始まり、スピード感と高級感が前面に出ている。中盤からは初音ミクが登場し、歓声と騒乱の中で終わる。正直言って、初音ミクに頼り過ぎるあまり、何を伝えたいのか、焦点がぼやけてしまっている印象が拭えない。伝えたいメッセージがあったのかもしれないが、視聴している者に、少なくてもそのメッセージが伝わってこない。

二つの動画広告を視聴してみてもう一つ感じたことは、「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」の方が丁寧に作られているということ。「Dream Harmonic - Corolla + Miku: Big Dream」の方は、やはり初音ミクに頼り過ぎてしまっていて、雑な作りになっている印象がしてしかたがない。このあたりの差が、バイラルの成功・不成功に大きく影響しているのではないだろうか。

実は、トヨタは、過去に大成功をおさめたバイラル動画を世に出した経験を持っている。2010年2月8日に公開された「Meet The Parents」という動画広告で、現時点で2千万近くも視聴されている。おそらく、知っている方も多いのではないだろうか。


■ 「Meet The Parents」



この動画広告も、「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」と同じように、車が走っているシーンが出てこない。テイストはかなり違うものの、コンセプトはどちらかというと「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」に近い動画広告だ。そして、「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」同様丁寧に作られている。

「Dream Harmonic - Corolla + Miku: Big Dream」は、アイディアがとても斬新だっただけに、もう一捻り加わるだけで、結果も違ったものになっていたような気がしてならない。そういう意味では、もっとバイラルしてほしかった動画広告だった。その代わりと言ってはなんだが、「Nissan LEAF: Gas Powered Everything」がどこまでバイラルするか、その結果が楽しみでしかたがない。

今後も、バイラルに成功した動画広告と、いま一つ成功しきれなかった動画広告を取り上げ、その違いについて考えてみたいと思う。その違いを分析することで、バイラル動画を制作する上で必要なポイントのようなものを一つでも多く見つけたいと思っている。

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