IT活用が加速しない最大要因は「中小企業の存在そのモノ」|0001
2008年版:中小企業白書をみると中小企業の「労働生産性の低さ」「IT活用の遅れ」「グローバル化対応の遅れ」が問題とされている。これらの原因は、諸説いろいろあると思いますが、私は、中小企業だからこそ、これらの問題が必然的に起こると考えています。さらに付け加えるなら、低い労働生産性がIT活用の遅れの主要因になっているということです。しかし、労働生産性が高ければ、IT活用が進むとも思っていません。
それらを説明する前に、まず、労働生産性の定義を確認すると、一般的に労働生産性=付加価値額/労働投入量と言われています。つまり、最小リソースで最大価値を提供できればできるほど、労働生産性は高くなる。ちょっと乱暴ですが、少数精鋭とも言い換えることが出来るかも。
また、起業するときは、一人~数人で立ち上げる場合が大半だと思います。創業期は、経営者が現場兼業は当たり前だし、経理から製造、納品までを一人で行ったり、、、。また、人手を含めたリソースも不足しています。この時期にもっとも理想的なのは、マルチレイヤー・マルチタスクの業務をマルチプレーヤーが行う形態。商品やサービスの質も高く、顧客対応レベルも十二分で、将来の成長が容易に想像でます。
それと、昔の転職感として「大きな企業の歯車になるよりも、小さい企業でやりがいのある仕事をしたい」というフレーズが流行したことがあります。求人広告の営業で大企業から中小企業までさまざまなクライアントを担当していた私は、当時の実情からもこれに同感していました。
こうしてみると、少数精鋭の中小企業の方が、大企業よりも労働生産性が高いように思われますが、白書の調査結果によれば、大企業と比べて中小企業における労働生産性の水準は低いとなっている。
このイメージと現実の違いの原因は何なのか?これらを細かく紐解いていけば、中小企業の労働生産性の改善やIT活用促進の強化につながると思ってます。
資料:経済産業省「企業活動基本調査」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」再編加工
(注)2005年度における労働時間1時間当たりの付加価値額を示している。