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ユーザーの「他人の権利を侵害する投稿」に対してアプリ事業者は責任を負うのか?【アプリ開発と法律】

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アプリ開発会社のトラブル対処法は?

ユーザーに投稿してもらうタイプのアプリを開発し、リリースしている会社からよくある相談として、 ユーザーの投稿による権利侵害があります。

例えば、ユーザーAから、ユーザーXの投稿が自分の権利を侵害しているとクレームがアプリ運営元へ寄せられ、なおかつユーザーAからアプリ開発(運営元)会社に損害賠償請求をされましたといった事例です。

アプリ開発(運営元)会社からすればユーザーAの権利を侵害する投稿したのはユーザーXです。自社としては、ユーザーXが悪いんだから、ユーザーXに損害賠償請求してもらいたい!自社は関係ない!と言いたくなるでしょう。

アプリ開発会社の味方!プロバイダ責任制限法

この点について、規定する法律としてプロバイダ責任制限法があります。

同法3条には以下のように規定されています。

オンラインサービス事業者は、他人の権利を侵害する情報が投稿されることを知っているか、又は知ることができたと認められる「相当の理由」がある場合でなければ、その投稿によって生じた損害を賠償する責任を負わない。

権利侵害通知を受けた場合は、すぐに対応を!

アプリ事業者としては、ユーザーから権利侵害の投稿があると通知があった場合には、すぐに事実関係を調べ、当該投稿を削除するなどの対応をする必要があります。

本件の場合、ユーザーAから事前に「投稿が権利を侵害する」との通知がされていた場合に、対応をせずに放置していた場合には責任を負う可能性が高いです。

一方、今回のユーザーAからの通知によって、権利を侵害する投稿が掲載されていることを初めて知った場合には、プロバイダ責任制限法により責任を免れる可能性があります。

いずれにしても、ユーザーから通知がなされた段階で、一度専門家に相談するようにしましょう!

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