「仮想通貨」の定義とは?仮想通貨規制法案の概要をIT弁護士が解説!
仮想通貨規制法案が公表されました
政府は、ビットコインといった仮想通貨に対する日本で初めての法規制案を閣議決定しました。
規制法案の内容も、公表されています。
情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案:
http://www.fsa.go.jp/common/diet/
どういった内容になるのか、昨年末から注目されていたところですが、ついにその内容が明らかになりました。そこで、仮想通貨規制法案の内容を見ていきたいと思います。
仮想通貨の定義
今回の規制法案は、既存の資金決済法を改正する形で、仮想通貨規制が入れ込まれることになりました。よって、資金決済法の中に、仮想通貨規制が盛り込まれています。
今回の規制法案で特徴的なことの一つに、「仮想通貨」を定義づけたことにあります。
新設された資金決済法2条5項では、1号として、以下のような規定になっています。
- 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、
- 不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法に より記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、
- 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
また、2号として、以下のようなものも、仮想通貨と定義されました。
- 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、
- 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
上記のように、非常に広範囲な定義になっています。
仮想通貨で流通量が最大のものといえば、ビットコインです。ビットコインは、当然に上記の「仮想通貨」に入りますが、流通量が限られている仮想通貨であっても、上記「仮想通貨」に入ります。
つまり、いわゆる我々が仮想通貨とイメージしているものは、法規制上の「仮想通貨」になるわけです。
今回の法案は、仮想通と呼ばれるものに、網をかけたものといえます。
従来の電子マネー・ポイントと「仮想通貨」との違い
よく混乱するのが、いわゆる「電子マネー」や「ポイント制」です。これらも、よく「仮想通貨」と呼ばれることがあります。しかし、これらは、従来から資金決済法で「前払式支払手段」と定義されていました。
前払式支払手段の定義は、以下のとおりです。
- 金額が証票、電子機器等に記載され、又は電磁的な方法で記録されていること
- ①に記録された金額に応ずる対価を得て発行されていること
- 発行する者又は当該発行する者が指定する者から物品を購入、借り受け、役務提供を受ける場合に、代価の弁済のために使用可能であること
つまり、「前払式支払手段」とは、特定の発行者がいて、その発行者が管理している範囲で利用可能というものです。
ウェブサービスやオンラインゲームでのコイン・ポイント制は、この「前払式支払手段」に該当し、従来からの規制を受けます。
参考ブログ:ウェブサービスの「仮想通貨」「ポイント」が資金決済法の適用を受けるとどうなるの?
仮想通貨交換業の規制について
この規制法案のもう一つ大事な点は、仮想通貨の取引所の規制です。この点は、次回解説します。