ウェブサービスで、無料サービスから有料サービスへ移行する場合の注意点
一方的に、無料サービスを有料サービスにできるのか?
ウェブサービスにおいては、まずは会員数を集めることが大事です。
そこで、最初は、無料会員登録で会員を集め、ある程度集まったところで、有料にするということは、よくあることです。
この場合に、利用規約には、
本利用規約は、事業者の判断により事前の予告なく任意に変更できるものとします。利用者は変更された時点での内容に同意しているものとみなされます。
このような利用規約がある場合に、会員の予告なく、一方的に有料サービスに移行することができるのでしょうか?
一方的な変更が出来ない場合も
利用規約を任意に変更できるという条項があった場合、利用規約の変更は、ウェブサービスの会員を常に拘束できるのでしょうか。
事業者としては、無料会員登録したときに、利用規約に同意し、上記条項にも同意しているのであるから、当然一方的に変更できると思うかもしれません。
ここで、重要になるのが、利用者が最初に利用規約に同意したときに、その後の変更を予想できたかどうかという視点です。
つまり、利用者が、全く予想していなかった変更に対して、以前同意したでしょうと言われても、それは同意したことにならないということです。
無料サービスの場合には、無料だからこそ使っていたという利用者が大半だと思います。それが突然、有料になるという変更は利用者が予想できない場合が多いと思います。
本件の場合、利用規約に上記条項が入っていたからといって、一方的に利用規約を変更して、既存の利用者からお金を支払ってもらうのは、難しいといえます。
このような条項を有効にしたいのであれば、利用規約に同意を取るときに、別途注意書きをするなどの措置が必要になります。
利用規約は、利用者との契約書の代わりになるものです。事業者にとって、どのような書き方をしていればよいのかについては、法的な判断が必要になるのです。