納豆ダイエット データ捏造事件の本質
TV番組でとりあげられて、急激に販売量が増加するといういつもの現象が、今回はインチキだったということで急減速だそうですね。既に制作サイドの謝罪番組も組まれ、ネット上でもずいぶん話題になってますね。
あの番組は、エンタテインメントとしてはそれなりに面白く、ほんのちょっとの知的好奇心を満たしてくれるというメリットもあって、ときどき見ていました。
しかし、採り上げられている事象に関する検証内容については、そもそも娯楽の域を出ることのない、インチキとまでは行かずとも信頼に足るものだったとは言えないでしょう。
科学的に、効果や効能を実証するための実験であるとすれば、一定以上のサンプルを確保するとか、きちんと対照をとるとか、ダイエットなどの場合はプラセボを考慮するとか、追試を行うなどの客観性を保障する手法と解析が求められるはずです。
もっとも、科学番組ではないし、ある程度証明されている事実を追認するために、なんとなくそれっぽい実験を行って、なんとなく説得力のあるかたちに仕立てて、娯楽としてたのしめるようにするということでは、あれでよかったのかもしれませんが。
今回は、明らかにウソがあったということで問題化していますが、これまででも恣意的な検証結果が無かったとは思えません。もっとも、ここではその点をどうこう追求するつもりはないです。そう、そもそも娯楽ですから。
本質的な問題は、視聴者があの程度の作りの番組を真に受けるということではないかと思います。実際のところ、あの番組に限らず、健康食品やグッズの宣伝などでは、ウソ偽りというほどではないものの、科学的な観点では説明不十分とか、都合のよいように解釈してみせるものを、鵜呑みにしてしまっているケースも多いでしょう。
これは、この国の理科教育がその程度だということもあるでしょうし、論理的に考えるトレーニングも充分に行われていないということも言えるのではないかと思います。
理科や科学なんて、学校でしか関係ないとか、俺は文系だからと、そういう話ではありません。常識の範囲のはずです。実際、いわゆるゆとり教育のせいかどうか知りませんが、その世代にこの手の常識が不足しているのは事実でしょう。一方、今回だまされた(つもり)人は若い人たちだけではなく、大人も相当いるはずです。
確かに、問題になった放送は悪質な捏造が含まれていたかもしれませんが、そもそも自分で考えて理解する、納得する、疑問を持つ、他の情報も調べてみるということをせずに、鵜呑みにしていてはならないはずです。
ウソはいけません。しかし今回はたまたま裏付ける映像が撮れなかったからデータを捏造してウソで間に合わせたかもしれませんが、あるいは時間があれば、いつものレベルでの実証(したみたいな)実験が行われ、それっぽい実測データが提示されていたでしょう。(で、あれば問題なかったということになる。不思議。)
そう考えると、今回の被害者は、TVを見て納豆を買いだめしてしまった人たちではなく、品不足になった大手納豆メーカーから大量のオーダーを受けて、大量に原材料を仕入れて増産体制を整えたところでキャンセルされてしまった中小の納豆業者さんたちかもしれません。
もっとも、とおるさんのように、納豆が買えなくて困った方たちもそうかもしれませんが。。。
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