蒼い百式、Live Servicesのコアにせまる(序章)
前々回の投稿でアーガマ隊の全貌を紹介したが、
今回はその中から百式にフォーカスを当てることにする。
Azure Services Platformの左上に配置されている Live Service とはいったい何者なのか、
簡単に説明しよう。
ただ、現時点においてはまだ百式は完成しておらず、
当初の計画通り可変モビルスーツとなるデルタガンダムと、
可変機構を省略した百式の両プランが混在している。
デルタガンダムにあたるのが Live Mesh Tech Preview 、
百式は Live Mesh Beta がそれぞれ対応するサービスとなる。
進捗ステージは違えども、どちらも正式提供前のテクノロジープレビュー段階にある。
マイクロソフトのLiveというと、メッセンジャーや認証、メールサービスなどを
思い浮かべる人々も多いだろうが、クラウド視点でみたときには、
中核は別にあると考えた方が整理しやすい。Live Servicesの中核はMeshテクノロジーである。
そもそも、Live Servicesに限った話ではないが、Servicesという名称がついていても、
これがエンドユーザー向けの既製品的サービスを意味するモノではないので
誤解しないようにしてほしい。あくまでアプリケーション開発者を助けるための
ビルディングブロックサービスなのである。では、Meshテクノロジーとは何か?
誤解を恐れず簡単に言えば「同期」を司る諸々である。
クラウド上のインスタンスを1つの起点とし、PCや携帯電話、その他デバイスをつないだ
デバイスリング」におけるコンテンツデータと、アプリケーションの状態を含む
メタデータの同期を可能にする仕組みを提供している。
データ同期など、わざわざクラウドを持ち出さなくても実現できそうなものではあるが、
PCやデバイスのように電源を切ることなく常に稼働している環境で、かつ、従来の
Webサイトのようにアクセスが集中してもボトルネックにならない拡張性を持つ存在として
クラウドはうってつけなのである。クラウドを何の目的で利用するか、という凝り固まった
発想ではなく、データ同期をするための手段として活用しているよい例といえる。
もちろんamazonのS3や他のオンラインストレージのようにバックアップデータ置き場などに
使うこともできるが、デバイス同期という機能があることで、もっと気の利いた使い方が
見いだされるのではないかと考えている。
一方のメタデータ同期とは何なのか?複数のデバイスで同じアプリケーションを共有する際、
その状態を引き継ぎ、疎結合アーキテクチャ故若干のタイムラグは生じるものの、
数秒のうちに反映することができるのである。
例えば、PCで途中まで再生した動画のタイムラインをメタデータとしてデバイス間で
共有しておくと、外出先でも携帯電話端末を利用して、動画をメタデータで保持した
途中の時点からシームレスに再生することができるのである。
従来、これらコンテンツ同期やメタデータ同期を異なるデバイス間で実現するためには、
多くの技術的チャレンジが存在していた。もちろんソフトウェアなのでがんばればできる。
例えば、Lotus NotesはR4の時代から優れたレプリカ機能を有していた。
ただ、そのようなアプリケーションをゼロから自前で開発しようとすると
手間がかかるものである。Live Meshテクノロジーは、この同期にまつわる厄介ごとを
まとめて面倒みるための開発基盤といえる。
Lotus Notesをつくり、Grooveを手がけたRay Ozzyがマイクロソフトで
Azureを担当することになり、その中核技術をMeshテクノロジーとして結実させようとしている。
人間くさい技術的な拘りの側面からも、わかる話ではある。
データ同期はすでに公開ベータなので、Live IDさえあれば誰でも利用することができる。
容量は5GBと最近のストレージサービスとしては少ないが、今後正式展開に向けて
拡張が行われてゆくだろう。現在のところまだ若干PC側の実行環境の動作が重い気もするが、
使い勝手は贔屓目なしに良好である。
アプリ同期はCTP版ということもあり、利用し始めるまでに若干の手続きと時間が必要となる。
また、アプリケーション開発環境となっているため、簡単に使うためにはVisual Studio
(無償ダウンロード版でも可)が必要だ。
直近、2月10日に私がデルタガンダムの可変機構について語る機会があるので、
自分で環境を作るのは面倒だがどんなものか見てみたいという方は、
このリンクの事務局まで連絡してみていただきたい。開発用トークンも提供する予定である。
百式にまつわる開発プランは、これら両者が融合することでとさらに強力なものとなる。
史実ではU.C.0096まで待たねばならないところではあるが、これらがデルタプラスとして
結実される日は意外と早いかもしれない。
Azure=蒼穹のイメージからか、Azure Services Platformの構成要素は、
クリアブルー系のロゴが冠されている。私は古くからの百式萌えであるが故、
近々MG Ver2.0が発売される百式を、Azureカラーのメタリックブルー塗装で
つくってみたい衝動に駆られる今日この頃である。