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クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

クラウド前哨戦会敵ミッション "Azure ready for release by end of year"

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ここ数日、クラウド関連の発表が相次いでいる。
中でもGoogleのGAE価格発表とマイクロソフトのバルマー発言の影響が大きい。
あくまで「個人的」な見解を下記に述べることにする。

Google App Engineの価格が発表された。
といっても、正式サービス開始というわけではない。ステータスは変わらずプレビューのままである。
この発表にはいくつか驚きと疑問があった。
まず、プレビューのままで課金する意義について。
とりあえずやってみようか、ということかもしれないが、その真意はよくわからない。
無償版と比べ、リソースの上限を緩和するという変更があるので、何かのコストを補填する
収益が必要になってきたのか、正式版リリースの際に価格変更するつもりなのか、
新しもの好きの開発者には認知が浸透したので開発環境を有償提供することにした
ということなのか、謎である。

そして、GoogleAppsでも問題を指摘する声の多かったSLAに関しては何もアップデートされていない。
一応マイクロソフトのAzureやOnlineサービスも「同業」に類するので、SLA策定がつらいのはわからないではないが、
やはり地上戦、つまりはエンタープライズ領域の実戦経験が不足しているのだろうか。
契約に縛られ、空間戦闘のように自由に身動きがとれないのが重力下、エンタープライズ領域の特性だ。

さらに、肝心の価格。思ったより高かったというのが正直なところだ。
GoogleAppsにおいて価格破壊戦略をとってきたGoogleが、Amazonとほぼ競合する価格を設定している。
価格を同レベルに設定するということは、Amazonに比較して明らかに差別化された何かがあると考えていると
とらえるのが普通だろうが、マイクロソフトへの牽制のつもりなのだろうか。
いずれにせよ、これでクラウドの中でPaaSと呼ばれるレイヤーは、ほぼ業界標準価格が決まったといってよい。

この価格帯が、高いか低いかについては、先述のAbove the Cloudsにおいて、オンプレミスで所有するコストとの
比較をUCバークレーのチームが行っているので、興味のある方は原文読んでみてはいかがだろうか。

続いて、Azureの件。
バルマー曰く、"Azure ready for release by end of year"ということでAzureの年内リリースを公約した。
価格設定についても近く発表予定と述べており、近々開催されるカンファレンスで正式な発言があるだろう。
そして、「マイクロソフトは、Azureを11月に開催するPDC2009の時点で商用サービスを開始できる」
といっている。AzureをはじめてRay Ozzyが発表したPDC2008から1年、
久々にIT領域でワクワク感を抱いた者のひとりとして、感慨深いものがある。
(日本でのリリース時期、扱いについてはコメントを控えさせていただく)

また、発表の場を開発者向けカンファレンスにしているあたりもマイクロソフトらしい。
これまでWindows上に開発者やパートナー企業と共に築いてきたエコシステムを、
クラウドの世界でも一緒につくりあげてゆきたいというメッセージなのだろう。
オラクルやマイクロソフトには、このあたりの取り計らいに一日の長がある。

今後もビジネス面、技術面で各陣営からの発表が相次ぐと思われる。
できるだけ多くの人々に、クラウドへの注目を高めていただき、この経験を共有していただきたい。

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