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ビール30本で300円(本来9000円)、価格誤記事件とその対応から知るセブンネットショッピングの理念

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みなさんは覚えていますか? 2009年10月、ネット上を騒がせたイトーヨーカドー・ネット通販の価格誤記事件を。

飲料や食品の一部で、箱単位の商品なのに誤って1個当たりの金額で購入できるような状態が4時間以上も続いていたがため、大量の注文が発生してしまったのですが、これに対してイトーヨーカドーは錯誤による無効を主張することなく、なんと全ての注文に対応したため、総額数千万円以上の損失を被ったと言われています。

これが原因なのかは分かりませんが、上記のネット通販はリニューアルされることになり、12月8日にセブンネットショッピングとして新装開店しました。

http://www.7netshopping.jp/all/

しかし、歴史は繰り返します。

またもや商品価格の誤記、しかも今回は食品以外も含む大量の誤記が発生してしまいました。このため、単純計算した被害総額は前回を大幅に上回ることになりそうです。

例えば・・・

・オリオンビール小瓶×30本セット=300円
 →300円x30本(本来)-300円=8700円損失

・紅茶花伝470ml×24本セット=178円
 →178円×24本(本来)-178円≒4000円損失

・グラフレットぺんてる×2000本セット=418円
 →418円×2000本(本来)-418円≒83.5万円損失

・インクカートリッジ×50本セット=2080円
 →2080円×50本(本来)-2080円≒10万円損失

・トルクケージ東日製作所×1箱(20000本入)=51300円
 →51300円×2万本(本来)-51300円≒10.2億円損失

 ※痛いニュース参考

これはもうひどい誤記です。商品によってはケース価格を誤って単品にしたものもあるでしょうし、トルクケージなどはそれに加えて1箱当たりの個数も誤ってしまっているのでしょう。

普通なら、これらの価格誤記に関する集中注文は錯誤であるとみなして「ゴメンナサイ」をするものですが、セブンネットショッピングの対応は異なりました。

『上記注文につきしてはご注文を承っております。一時的に価格表示に誤りがございました。既に修正はさせて頂いておりますが、当ご注文については購入金額で販売いたします。』

なんと注文を表記金額で受けるそうです。おそらく、あまりにも高額な商品はこの限りではないと思いますが、生活雑貨や飲食品の類であれば、概ねこれと同じ応対をするのでしょう。

この対応で本当に良かったのか、ネット上では賛否が渦巻いています。販売者としての責任を果たしたことを評価する人もいれば、明らかな誤記にも関わらず消費者に迎合して対応するのはおかしい、そう主張する人もいるようです。

たしかに、10億円を超えるような価格設定のものへの注文には応じないとしても、おそらく総額で何億円もの損失が発生することでしょうから、これをそのまま受けるというのは営利企業として適切な対応ではないと考えるのは当たり前です。

どちらの意見も一理あると思いますが、私自身は、この対応はセブンアンドワイのカルチャーによってもたらされた結果であり、ひとつの企業文化としてアリだと思っています。

実際に何度もセブンアンドワイのオンラインショッピングを使ってみると分かるのですが、注文した商品が欠品しているときには、スタッフの方が別の商品をオススメしてくれるんですね。

例えば、100円のホウレンソウを注文したけれども欠品だった場合、

「もしかして夕食の食材で使う予定でしたか? 小松菜ならホウレンソウの代わり使える料理も多いですけどいかがですか? 本来は150円ですけどホウレンソウと同じ100円でご提供しますよ?」

こういったことを当たり前にやってくれるんですよね。お客様の視点に立ってサービスを提供しているなぁと強く実感します。だからこそ、今回の価格誤記に対する対応は決して大衆への迎合ではなく、あくまでもセブンアンドワイの精神に基づいた対応なのだろうと私は理解しています。

最後に、価格情報をご入力してしまった担当の方やシステム開発者の方々は、これを機に、異常値入力のバリデーション処理実装を検討してはいかがでしょうか?

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