amazonがユーティリティコンピューティングサービスを発表
amazonがついにサーバ処理能力を時間貸しするビジネスも発表しました。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20212047,00.htm?tag=nl
同社は、技術プラットフォーム分野での売上を伸ばすことを目的に、2006年3月から開発者向けホスティング型ストレージサービスを開始していましたが、今回はユーティリティ・コンピューティングの領域に踏み込んで、サーバリソースのペイパーユースモデルを提供するとのこと。
以前からamazonがストレージサービスを提供しているのは知っていましたが、CNETに掲載されたニュースを読むまで、その理由をよく理解していませんでした。
根底にあるのは、自社技術をWeb上で優位に展開するための開発者争奪戦なのですね。
今回の時間貸しビジネスも同じ事で、要は「amazon社のホスティングサービスを利用すれば、使った分しか請求しませんから、開発者の皆さん、amazonのAPIを使って色々作って下さいね」ということなのでしょう。
ここで、ビジネスを行う立場から見て、とても気になることがあります。それは、amazonがこのサービスでどのように採算を取ろうとしているかということ。
Web情報を見ると、1サーバインスタンスの性能は次の通りでした。
1.7Ghz Xeon CPU,
1.75GB of RAM,
160GB of local disk,
250Mb/s of network bandwidth
仮想サーバが乱立することを考えると、オープンソースを利用して全てのアプリケーションを構築していると思われますから、ソフトウェアのライセンスはほぼ0円と考えていいのではないかと思います。
※仮想サーバもXenを利用しているのではないでしょうか。
では一体、どれくらいの開発者が集まると元が取れるのでしょうか。
1時間10セントで貸し出すということですが、これって相当安いサービス価格ですよね。1000人が24時間使い続けても、1年で90万ドル弱。データセンターの電力料金や冷却費用も考えると、これでは収益が上がりません。
少なく見積もっても、常に数千人(サーバ)が利用している状態でなければ、採算が取れないように思えます。
つまり、純粋に金儲けができるモデルではないということです。
そうすると、このサービスをテコにして、amazonがやりたいことは何なのかという疑問が頭に浮かびます。
一番考えられるのは、amazonの技術(API)を使ってサービスを提供するサイトを増やすことですが、それは現在の仕組み(第3者が外部からAPIでアクセス)でも十分実現できています。
となると、現在の仕組みでは実現困難なサービスを展開することが考えられます。
BookBurroでは、amazonの書籍検索機能を利用して価格比較を提供するサービスをamazonのホスティングストレージサービスを利用しているそうですが、このようにamazonが抱える大量のデータにアクセスするサービスであれば、アプリケーションをamazon側に持つ意味はあるかもれません。
言い換えれば、こういったサービスが今後増加することを見越して、amazonは今回のサーバ時間貸しサービスに踏み切ったのでしょう。
これから先、eBayやGoogleも同様のサービスを提供するのでしょうか?