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情報格差などがもたらす情報社会の問題について考える

情報リテラシー教育の現状

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情報格差の原因および解決策については、これまで提言させていただいたが、今度は解決策の中の1つとしての情報リテラシー教育について、現状どうなっているか気になったので調べてみた。

これまで大学などの高等教育機関では、図書館を中心に情報リテラシー教育が実施される事がほとんどであったが、その周辺はどうなっているのでしょう。これに関しては、文部科学省のサイトに参考となる資料があったので引用する。

◆平成 22 年度「学術情報基盤実態調査」の結果報告
学内LANを利用するために必要な操作方法・技術・ルール、学内のシステム、アプリケーションソフトウェア、データベース等の利用方法やルールなど基本的なリテラシーについては、8割以上の大学で実施しているのに対し、情報検索技術、その他情報技術一般など、さらにその一段上の情報リテラシーについては、半分以下の大学しか実施していないようなのが気になります。

情報が氾濫している現代の情報社会では、多くの情報の中から信憑性を判断し、取捨選択していかなければならない状況にある。しかし、情報リテラシー教育が最低限のところでとどまっているようでは、多くの方が適切な情報を得る事が出来ないことにならざるを得ないと思う。私としては非常に危惧感を持っていますが、皆さんはいかがでしょうか?

情報リテラシーの応用教育については、以下のように分科会でも「検討要」と提言しています。

◆科学技術・学術審議会学術分科会学術情報基盤としての大学図書館等の今後の整備の在り方について(2010年)

現時点で、多くの大学で行われている情報リテラシー教育は教養教育及び各専門分野における教育との連携が不十分であり、効果が限定的である。このため、学生に対する利用者教育、特に各分野の教員との連携を考慮した情報リテラシー教育の推進に関する検討が必要である。

次に生涯学習の中で情報リテラシーについてどう位置づけられているか見てみよう。

◆生涯学習分科会 答申案(2009年)
本書では、情報リテラシーを以下のように位置づけている。

情報及び情報伝達手段を主体的に選択し、活用していくための個人の基礎的な能力や態度

また、以下のように生涯教育について提言している。
情報リテラシー に関する学習、デジタルデバイドへの対応や有害情報対策等、多様な学習内容を提供する必要がある。特に、インターネットや携帯電話の普及等の情報化社会の進展に伴い、メディア上の有害情報が深刻な問題となっていることを踏まえ、社会の有害環境から子どもたちを守るため、子どもたちが適切に情報を判断する能力や、相手への影響を考えて情報を発信する態度等の情報モラル育成とともに成人に対する啓発等を含む有害情報対策の充実に地域社会全体で取り組むことが必要である。また、一般的には情報通信技術の利用率が低いとされる高齢者等の支援が重要である。

「高齢者等の支援」とあるが、ここは細分化が必要と思われる。適切な表現かどうか分からないが、何を持って情報弱者とすべきかといったところの十分な議論が必要と思われる。

今後、更に議論が進んでいくことに大いに期待したいところです。

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