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情報格差などがもたらす情報社会の問題について考える

「光の道」対談を読んで(1)-iPadは情報格差を解消するか?-

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 原口一博総務大臣の「光の道構想」を受けて、ソフトバンクの孫正義社長とジャーナリストの佐々木俊尚氏対談が5/13の夜に行われた。その中で、以下のような発言があった。

ユーザーインターフェースが進化してきて、機械が人間に合わす。(孫氏)
iPadみたいなのを突破口にして、デバイドの議論をいい加減終わらせる(佐々木氏)

双方とも、iPadが情報格差をなくすきっかけになるという認識のようだ。一部は同意するが、一部は同意しない。それは以下の理由による。

  • 同意する理由・・・インタフェースが分かりやすく、マニュアルを参照することなく操作することがある程度可能である。また、従来のデジタルデバイスとは違って機能の拡張性が期待できるため、色々な情報のニーズに応えることが十分可能である。また、コンテンツが魅力的であり、継続して使用するに十分な動機付けがある。これまでうまくいかなかった情報端末としては、キャプテンシステム、インターネットTV、Lモードなどがある。これらに共通しているのは、操作性や拡張性の不十分さ、コンテンツの魅力のなさがある。したがって、情報格差の解消に一役を買うことは期待できる。
  • 同意できない理由・・・iPhoneがそうであるように、iPadも、初期設定の敷居が高い。インタフェースは美しさを優先した結果、設定はアプリと同様にアイコンがあるだけだが、初心者がここでどのように設定するかまでは、直感的に理解することは難しい。また、PCなどの母艦を経由しないと、バックアップをとったり、音楽や映像データを転送出来ない。 このため、十分に機能を使いこなすためには、PCが使えるスキルが必要になる。つまり、初心者が十分に活用できるには、何らかのソーシャル的なサポートが必要である。これまでも総務省が主導的に開催して来たパソコン教室と同様にiPad教室を開くなどの啓発活動を行わないと、情報格差の解消のきっかけにはならないと考える。

 iPadは、現在のままでは、情報格差を解消するほどまでにはならないが、うまくサポート体制を作り上げることができれば、情報格差を解消するきっかけにはなると考えている。

※発言内容は書き起こし.comから引用しました。ここにて感謝の気持ちを表明します。

【書き起こし.com】全文:孫正義 vs 佐々木俊尚 徹底討論 「光の道は必要か?」

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