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グローバル化する地球の中に、日本はどう立つのかを考える日々

新iPhone OSの発表に思う、ガラパゴス携帯の世界での戦い方とSIMロック解除議論

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iPhone OS4.0が発表された。

マルチタスク対応となり、バックグラウンドオーディオ・Voice Over IP・プッシュ通知・アプリ切り替えなどの機能が使えるようになった。

これで思うのが、いよいよ日本のガラパゴス携帯の優位性が無くなったなと言うことであり、日本の携帯産業の世界での戦い方を再考しなければならないということだ。

スマートフォン時代到来以前、日本のガラパゴス携帯はハードとソフトの綿密な連携、ワンセグなどの新機能、新機能の追加を支えるマルチタスク(擬似的も含む)環境などで世界的に見ても先進性であるとの地位を保ってきた。

Windows CE / Zaurus + 通信カードやPalm等が現れ、Windows Mobile搭載のスマートフォンなどが売れ初めても、メインストリームの携帯市場にスマートフォンが食い込んでくることはなかった。

しかしながらAppleのiPhone登場以降、iPhoneはハードとソフトの綿密に設計された統一感、頻繁なバージョンアップによる品質の向上などで、スマートフォンがメインストリームの携帯市場に食い込んできたと言えるだろう。

まず、この時点で、サービスを提供する基盤としての各社のガラパゴス携帯向けソフトウェア環境(SymbianやLinux+各社が積み重ねてきた経験・ノウハウ)と、iPhone OS環境のレベルが、実質的に並んだように思う。

具体的には、日本のガラパゴス携帯が提供する、マルチタスク環境(ゲームなどを中断させずにメール、ワンセグを録画しながら他の作業等)や長い間Web閲覧をしていても落ちないブラウザ環境などが、殆どの消費者の使用レベルでiPhoneでも実現できるようになったということだ。

特にiPhoneで優れているのが、ハードからアプリケーション層まで一貫してAppleが管理する垂直統合モデルでありながら、アプリケーション層において開発環境とAppleが管理するApp Storeを用いて、垂直統合を保ちつつオープンな開発モデル・スタイルの利点を手に入れたことだ。

この時点でガラパゴス携帯は、技術レベルでAppleと同等であり、開発モデル・ビジネスモデルでAppleに負けたと言える。

そして今回のiPhone OS4.0。ここで技術レベルでもAppleに完敗したように感じる。あのレベルのUIは、Mac OS Xで培ったCocoaやCore Imageなどの技術に立脚しているわけで、もはや、既存のOSを初めとするソフトウェア資産にいくら改良を加えても、iPhone OSに叶わないことが明確になったと思う。

では、日本のガラパゴス携帯が今後どうするかと言うときに、AppleがClassicなMac OSを捨てて、Mac OS Xに移行したような体力と猶予はもはや無いだろう。
考えられるのは、日本のガラパゴス携帯の提供していた価値は何かに立ち返り、iPhone OSやAndroidの上で再度それを実現し、世界的にサービスとして地歩を築くことである。

例えば、防水・防塵・耐衝撃技術、打ちやすいテンキー、美しくてCoolなストラップとストラップ穴やデコレーション等のハード側の価値に注目すると、ソフト側はAndroidなどの追加開発費のいらない既存のOSを用いて、徹底してハードの魅力で勝負することになるだろう。

NAVITIME・AUナビウォークやAU Smart Sportsのようにサービス側で勝負するなら、ハード+OSはiPhoneなど既存他社の製品などに任せ、Webサービスなどの標準的な基盤を用いてハード横断的に提供していくことになるだろう。

どちらにしろ重要なのは、既存の資産が通用しなくなった以上、自分たちの打ち手は何が残されているか、持っている資産やコンテクストの中で何でなら一点突破の勝負が出来るかということだろう。

昨今SIMロック解禁の議論が喧しいが、その議論の前提に、日本のガラパゴス携帯は先進的で優れていて制度の軛を解き放てば世界である程度戦えるはずだというのがあるような気がしてならない。

しかしながら、もはや日本のガラパゴス携帯はそのままでは世界で戦えるわけでは無い。自分たちの持つ優位性はどこなのか、何で勝負するのか、その発想が無いままにSIMロックの議論をしていては、産業政策を誤ることになると思う。

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