統計でもつらつらと眺めつつ今年を振り返ってみた
仕事納めも過ぎ、2011年も終わりなので、ぱーっと統計を眺めて振り返ることにする
2011年は日本にとって記録的に災難な年であったのだろう。
2008年のリーマンショックからの回復、2009年から続く欧州危機が安定し、それなりの成長が見込まれていた。
例えばIMF(国際通貨基金)の2010年の予測では、日本は2009年の-5.2%成長から2010年・2011年も共に2%程度の成長と予測していた。
※IMF World Economic Outlook http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2010/01/pdf/text.pdf
日本貿易会の2011年見通しも、通関収支・貿易収支共に2009年からの回復の延長線上にあると考えていた。
http://www.jftc.or.jp/research/statistics/mitoshi_pdfs/2011_outlook.pdf
しかしながら、今年は東日本大震災&長野県北部地震&宮崎県新燃岳噴火といった自然災害に、円高・石油高・終わらない欧州危機といった金融問題、さらにタイ洪水・米国債デフォルト危機といった諸々の多重苦が襲ってきた。
■石油価格は2008年大暴落依頼一貫して上昇基調。
※IMF統計IMF Primary Commodity Prices内のOil; Average of U.K. Brent, Dubai, and West Texas Intermediate(指数値)
http://www.imf.org/external/np/res/commod/index.aspx
■円ドル相場も一貫した円高基調
※Yahoo!ファイナンスより
■円ユーロも一貫した円高基調
※Yahoo!ファイナンスより
■国際収支状況も31年ぶりの貿易赤字とのこと
http://www.asahi.com/business/update/1221/TKY201112210235.html
※財務省・日本銀行「国際収支状況」
東日本大震災自身は、主な被災地4県(岩手、宮城、福島、茨城)のGDPを足しても6%程度、実際の被災地で考えると1%程度の範囲への被害であり、かつサプライチェーンの回復なども早かったことを考えると、東日本大震災の復興政策よりも円高対策の方が日本経済には必要なのかもしれない。
※マクロ的には大きな被害は無いかもしれないが、心理的萎縮効果や、被災者の方々の心情は察するに余りあるものである。友人が被災者一人一人に焦点を当てて書いた本があるので、もし良ければ読んで欲しい。
http://www.amazon.co.jp/dp/4594064841
■第一生命経済研究所:鉱工業生産指数(2011年5月) ~サプライチェーンの復旧を背景に生産は順調に回復
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et11_067.pdf
※内閣府県民経済計算より
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sonota/kenmin/kekka_/main.html
こうやってつらつらと統計を眺めてみると、どうも東日本大震災のせいで景気が悪いというよりも、国際的な経済環境が悪かったと言えそうだ。
とするならば、海外環境は一国ではどうにもならないところがあるので、東日本大震災の復興関連を国会で延々と議論するよりは、日本国内がどうあるべきか考えた方がよさそうだ。
例えば長時間労働の上に、決して高くなく下落傾向にある日本の労働生産性を上げるために、世代間格差や雇用政策をどうするかと入ったことの方がよほど実があるはず。
※公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較」(2010年版)より
考えてみれば、インターネットも整備され、スマートフォンも普及しと、時代は進んでいるのに生産性が下がるなんて凄い事態だ。身近な視点での見方になるが、普通に考えてもITと馴染まない組織ルールや社会制度が多い。
まったく、どう振り返ってみても、本当に今年の日本はいいところが無かったようだ。
来年も米国・中国・ロシア・仏国・韓国・台湾といった主要国で大統領・首相などトップを選ぶ選挙が、日本でも9月までに民主党・自民党の代表/総裁選がありおそらく首相が替わることを考えると、大きな動きは起こりにくく、余り良い方向に物事が進むようには考えられない。
となると来年はこれまでメインストリームで無かったところが注目される年になろうだろうか。引き続き大阪・名古屋・新潟・東京都といった地方自治体からの改革と共に、会社の若手や社会の片隅にある将来の芽に注目できる年になれば、後から考えて良い年だったと言えるような年になるのだろう。
明確な問題も解決策も示せない、先例もない、そのどうにもならない感が『課題先進国日本』らしくてよいと考えれば楽しくなってくる。来年はそんな年であれば。
※ざーっと統計を眺めて傾向をみるためのものなので、グラフの見やすさや定義などが比較・並列可能か否かなどは考慮していないのでご容赦を。