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My Best Business Book of the Year 2011 今年のマイ・ベスト本は?

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先日、知人の野村謙次氏が主催する「つながる読書会(※)」とのコラボイベント「ちょっと早いけど2011年総決算【My best businessbook of the year】を紹介しよう!」で、今年のマイ・ベスト本を紹介しあいました。私のベスト本は『スペンド・シフト』(著者はジョン・ガーズマ氏とマイケル・ダントニオ氏)でしたのでご報告します。

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著者ガーズマ氏は米国の大手広告代理店に所属する消費行動研究家。BAV=Brand Asset Valuator 調査に基づくなど、消費者の行動や価値観をデータ・オリエンテッドに分析するアプローチは説得力がある。

ただ分析内容に惹かれただけではない。私の未来観を刺激してくれたという点で、今年のベスト本に選んだ。私の未来観とは──本書の一面しか捉えておらず恐縮だが──世界、とくに先進国からいずれローカル経済に回帰していくんじゃないかというささやかな予想のこと。本書にはそんな自分の予想の力強い味方についてくれたという感謝の気持ちを贈りたい。

グローバル化はビジネスが効率を求めてさらに進むのだろうが、一方であんまり物事を集中化させてしまうと面白くなくなっていく。運良く独占できたほうの人にとっても、それは儲かっていいかもしれないが、仕事が面白いかというと決してそうではない。ネットが発達し、ソーシャルメディアを使ってコラボの楽しさを経験すると、やっぱり生身でフェイス・ツー・フェイスをやれる、物理的近さが大切になる。

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ちなみに、本書の章立ては「地域別」。次のトレンドは何だろうと思いながら本を探していたので、一目でスゴイと思った。でも半分は発見した自分に感動していたのかも(笑)。だから書店で目次を見て驚いてすぐに買うことにした。──これが本書との<求めていた>出会いです。

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さて『スペンド・シフト』が、<求めていた>出会いとなった由来を補足しておきたい。ここまでのマイブームだった本をまとめておきたかったし、ローカル経済に回帰するんじゃないかという仮説に至る伏線を整理しておきたかった。──これも読書会で紹介したが、みなさん理解されただろうか? 読書会にはいろんな立場の人がいたので、かなり押しつけがましい持論展開をさせてもらったことは恐縮に思っている。

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遡ること2009年、クリス・アンダーソン氏の『フリー』
フリーを脅威ではなく機会として捉えようとした点で、情報産業への指南の書。サブプライムローン破綻問題(2007年)、次いでリーマンショック(2008年)と世界経済が転げ落ちていく中で、まず情報産業からフリー化が進んだ。

2010年にはタラ・ハント氏の『ツイッターノミクス』
ツイッターが流行り始めた頃なので仕方ないが原題は『The Whuffie Factor』。Whuffie=ウッフィーとは共感資本という意味で、お金に替わって流通する新しい資本の概念。フリー化が進んでお金の流通が止めば、ウッフィーが台頭するという構図も理解できる。

するとレイチェル・ボッツマン氏の『シェア』リサ・ガンスキー氏の『メッシュ』が相次いで登場。シェアは新しい消費行動を、メッシュは新しいビジネスモデルを指して言っているが、コンセプトは極めて近い。時代背景として、不況が続いても石油などの資源価格が上昇し、やはり資源制約をどう乗り越えるかという経済的課題が浮上した。シェア消費はその知恵として台頭してきたものだろう。

ところでシェア消費が進むと経済がシュリンクするんじゃないかという危惧もあるが、私はそれを認めつつ楽観視している。提唱されている「コラボ消費」や生産活動が分散化するという概念が、その答になっている。コラボ消費には、さほどお金をかけなくても創造的で豊かになれる、という未来観が込められている。

そして今年2011年、ジョン・ガーズマ氏の『スペンド・シフト』が登場。
シェア消費やコラボ消費の次は何だろうと思っていたところで出会った。もし私たちが効率性だけで無く、効率性と創造性を同時に求めているならば、物理的な近さがきっと合理性を帯びてくるはずだ。本書はローカル経済への回帰を示唆してくれた。

翻ってネットやソーシャルネットワークの技術革新が、マクロで見て社会や経済の構造を長期的にどう変化させ落ちつかせていくかについて悶々としていた一年だった。ローカル経済への回帰という予想は、私の中で一つの答になっている。

最後にもう一度。『スペンド・シフト』よ、ありがとう。

<追記>

以下いずれのページも書籍を題材にした勉強会を行っております。勉強会は、月に一度程度の頻度で行っておりますので、今後の予定は各々のページでご確認ください。

「つながる読書会」 フェイスブックページにて参加者を募っています

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先日のイベント「ちょっと早いけど2011年総決算【My best businessbook of the year】を紹介しよう!」は、つながる読書会とプランテックルーム【勉強会】とのコラボイベントとして開催されました。

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